家族で温泉
きょうはかみさんの誕生日。 お祝いに温泉に行くと決めていた。 家族で一泊旅行というのは随分久しぶりだ。 目的地は山梨県の積翠寺温泉。 武田信玄ゆかりの地というが、ぼくは行ったことがない。 決めた理由は、八王子から近く、古い温泉場でお湯が良さそうなところと思えたことだった。 早めに出て午前中のうちに甲府に着きたい。 で、前に行ったほうとう屋で昼めしを食うのだ。 ほうとうはうまいし、丼がでかい。 腹が過剰なほどいっぱいになった。 予約した宿はかなり高い山の上にある。 海抜740メートルと知ったのは、送迎バスがくねくねと曲がる山道を登りきった直後だった。 窓の外を眺めていたぼくは、ときに車幅ぎりぎりの道をV字型に曲がるのがこわくてしょばなく、だから降りてすぐ運転手さんに海抜どれぐらいなのかを聞いたのだ。 740メートルというのはかなり高いぞ。 すっと思い出すのは長野市の標高が500メートルで戸隠の中心部がそのまた500メートル上に行ったあたりということ。 700メートルぐらいの高みから長野市の遠景を眺めたことがあるが、宿に着いてバスから降りた玄関先があの高さにあたると知ったわけなのであった。 坐忘庵、というのが宿の名で、ひと月半ほど前にかみさんが予約した。 4人入れる部屋があるところが気に入ったのだった。 露天風呂に入り、一休みして食事。 ものすごく凝った料理が供された。 名物とされている「翠楼とうふ」が出たのは4品めか5品めだった。 たしかに不思議なコクがあり、うまい。 すごく早く、夜9時半をまわるころには家族4人すやすやと寝入ったことだった。