Muddy Waters
エルヴィス・プレスリーの歌に『I Washed My Hands In Muddy Water』という曲がある。 タイトルの邦訳は「泥まみれの手」となっているが、これ、ブルースで知られる歌手にして作詞作曲家マディ・ウォーターズとかかわる歌なのじゃないかなぁ。 ライナー・ノートに載っている歌詞からは殊にそういったものは受けとめられない。 じっさいには何の関係もないのかも知れない。 ぼくの思いこみでもいっこうにかまわないわけで、ま、マディ・ウォーターズというひとの存在にかかわる曲だと、そう思い込むことにしよう。 歌詞の終盤、こんなくだりがある。 I broke out, broke out of Nashville jail I just crossed the state-line of Georgia Well I can hear those bloodhounds on my trail (Lyrics:Joe Babcock Music: Joe Babcock) ナッシュビルの刑務所から逃げ出した結果いろいろあって「ちょうどジョージア州への州境を越えたところで警察犬の鳴き声が聞こえてきた」というわけだが、ぼくは最後の行に「警察犬の鳴き声」とある点にマディ・ウォーターズのブルースとの関連を感じてしまうのだ。 いま昼だが、もう少し経ち午後1時になるとかみさんの友人・大坂間さんが現れることになっている。彼女の車に乗せてもらってかみさんと陽次郎くんとぼくの4人で多摩境まで買い物に行くのだ。 何となく楽しみにしている対象が食品の買い物であることに我ながら失笑してしまうよ。 大坂間さんが到着し、われわれ3人が車に乗り込んで多摩境のコストコに向かう。 コストコ初体験の身として、まずは見学だと思いながらキャリー・カーを押しながらゆっくり歩き回った。 上の写真は店内のようす。 店内というより倉庫だな。 でかい体育館か格納庫を思わせる建物である。 通路は大混雑。 日曜日のこの店は混む、混みすぎる。 買い物客の動線を無視した通路のつくりかたとしか思えないが、そうか、もしかすると意図的なものか。 しょっちゅう子どもの泣き声が聞こえてくる。 知ってる人は体験済みだろうが、どうしてもキャリー・カー同士がぶつかりそうになる。 商品のバカでかいさや多さにぴっくりしながら歩くと、ほかの人の買い物品に目が行ってしまう。 ほとんどのひとがあのパンを買っているだの日本人はこんなにシリアル好きだったっけだのと思わせられるわけだ。 当方もあれこれ買い込み、陽くんの希望でホットドッグを食べて行くことになったのだが、ここの行列がまたすさまじい。 カウンターに向けて10列ほどの行列ができている。 ま、マクドナルドのスタイルだが規模がでかい。 待ち時間も長い。 わいわいがやがやする中で順番を待つうちにぼんやり浮かんで来る光景がある。 それは香港から広州に行く船のチケット売り場なのだった。 同じようにカウンターに向けて10列ほどの行列ができており、列はなかなか進まず、わいわいがやがやしており、なかにはニワトリを持ち込もうとしている家族もいる。 陽くんはディズニー・ランドみたいだといっていた。たしかにそうだが、行列が何本もあるところがちょっとちがう気がした。 ○ ○ ○ 帰りに寄った友人宅でカナダ人のパトリックと会い、さまざまな話をした。 なかでもローリング・ストーンズの話ができたことがうれしい。 パトリックのお父さんがストーンズを好きで、だからパトリックはギターを練習することになったのだという。 マディ・ウォーターズのことを聞くと、日本ではほとんど聞かれないけどアメリカではいまでも大人気、CDはどこでも売っているそうだ。 ずいぶん探しているんだけど見つからないよというと、東京ではあまり聞かないとうなずいていた。 ピツァが焼け、サラダができ、テーブル上がにぎやかになった。 パトリックが「シャンパンを開けよう」と、取り出したのはピエ・ノワールのロゼではないか。飲みたいなと思ったがやめた。やめてペリエを所望した。 久しぶりに飲むペリエはとてもうまかった。