カテゴリ:社会風俗
クロニクル イエスの方舟ー心の軌跡ー 1980(昭和55)年7月3日 この年1980年の2年前、78年の5月に、東京国分寺の教会を出奔して以来、行方不明となっていた若い家出女性がほとんどの集団が、この日熱海で見つかりました。 教祖の仙石イエス氏を中心とするこの集団は、自分たちを「イエスの方舟」と称し、信者の女性達は、仙石イエス氏を「おっちゃん」と呼んで慕っており、教会を抜け出した後、各地を転々としながら福岡に落ち着き、女性達が市内の飲食店や飲み屋で働きながら生活を支えていたことをこもごもに語りました。 また、「人格を認め合った生活は楽しかった」とも語り、いったん家に返された女性達の多くは、再び家出して福岡に戻り共同生活を再開します。女性達の失踪後、仙石氏による女性拉致の線を追っていた警察とマスコミは、当初の思惑と異なる展開に戸惑いを隠せなかったのですが,信者全員の供述が一致する中で、仙石氏を誘拐罪に問う事は出来ず、やがて仙石氏も不起訴となって,女性達の待つ福岡に向ったのでした。 この事件では、興味本位に「イエスの方舟」追跡キャンペーンを展開して、信者の女性達に付きまとったマスコミの報道姿勢が,世論の厳しい指弾を受け、マスコミ報道の客観性が問題にされた事件でもありました。 家や地域に居場所を見出すことの出来なかった心淋しい彼女たちにとって、自己の存在を認めてくれ、自分を必要とする人達がいるんだという発見は、大変に心楽しい干天の滋雨でした。人生で初めて心から落ち着け、かつくつろげる場所が見つかったのです。居場所がなく、自己の存在証明を見出すことのできない家族の下で、鬱々と日を送るよりも、仲間と一緒の、あの素晴らしかった日々に戻りたい。これが彼女たちの願いでした。 この事件は、人を褒めることの大切さ、認め合う関係の大切さを教えてくれる出来事でした。認められ、必要とされることで、劣等感に苛まれている、人生から落伍寸前の、或いは落伍してしまった青少年にも、生きがいが生まれる事を教えてくれました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.07.03 12:25:32
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