カテゴリ:外国史
フランス革命(11) 大恐怖の脅威を何とか切り抜けた国民議会は、いよいよ本論の憲法制定作業に入りました。その最初の成果が8月26日に発表された「人権宣言」です。 正確には、人間と市民の権利宣言。より正確には人間と男性市民の権利宣言です。市民は男性形のcitoyenと書かれ、女性形のcitoyenneとは書かれていないのです。というわけで、フランス革命は、人間の半分を占める女性の権利には関心を払わなかったという問題点が、1980年代から意識されるようになってきているのですが、その事は後日に論じることにして、今日は人権宣言について書かせていただきます。 この宣言は、議会が考える憲法の骨子、枠組を早い時期に広くフランス国民に周知し、後戻りはしない決意を伝えようという、議会の強い意志で、発表されたものでした。内容はというと、 第1条 人は生まれながらにして自由であり、権利において平等 である…… 第2条 あらゆる政治的結合の目的は、人間の自然的諸権利の保全にある。これらの諸権利とは自由、所有、安全そして圧政への抵抗である。 第3条 あらゆる主権の根本は本質的に国民にある。……… 第5条 法律は社会に有害な行為しか禁止する権利を持たない。 第6条 すべての市民は法の前に平等である。 第11条 思想及び意見の自由な伝達は、人の最も貴重な権利の一つである。 第17条 財産権は神聖かつ不可侵の権利であり、公の必要が求める場合で、正当かつ事前の補償の条件の下でなければ、それを奪われる事はない。 およそ以上のような内容でした。今日的視点で見れば、所有権を無条件で認める替わりに、財産を持たない国民への配慮は全くなにもない点など、種々問題にすべき点はあったのですが、市民社会の根本原理を明確な形で表明した意義は、高く評価できます。 人権宣言発表の後、憲法本文の審議が始まるのですが、9月に入ると、またぞろ議会を取り巻く情勢には、不穏な空気が漂うようになってきます。 国民議会の議員達の間に、考え方の相違が目立ってきたからです。国王はそれを利用して、巻き返しを図ろうと盛んに策謀をめぐらせます。そうした動きを粉砕したのが、10月5日の女性達の行進でした。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.07.24 01:45:21
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