カテゴリ:国際政治
第一次世界大戦(24)
アメリカの参戦…2 現在のアメリカでもそうなのですが、開戦や戦闘への参加について、アメリカでは議会の承認が必須条件になっています。 この事情を語るには、合衆国の建国史をやや詳しく語る必要があるので、ここでは省かせていただきますが、イギリスからの独立の達成が1783年であったのに、アメリカ合衆国の誕生は、何と5年後の1788年であり、高名なジョージ・ワシントンが初代大統領に就任したのは、フランス革命勃発直前の1789年4月だったことを指摘しておきます。 現在のアメリカ大統領の権限も、諸外国に対する傍若無人振りに比べ、国内では比較にならないくらい、制約されているのです。それだけ州権が強く守られているといえましょうか。 ですから、第一次世界大戦への参戦も、世論の支持を背景に議会の同意をとりつけない限り、できない相談でした。宣戦布告には、議会の同意が必要でした。ヴェトナム戦争への本格介入のために、自作自演のトンキン湾事件(北ヴェトナムの魚雷艇が、米艦船を攻撃したという、有名な出来事)をデッチあげる必要があったのです。 ドイツの無制限潜水艦作戦は、アメリカの世論を参戦に大きく動かしました。この機を捕らえて大統領ウィルソンは、議会に参戦を提案します。上院も下院も圧倒的多数で、参戦を支持しました。こうして、1917年4月、アメリカはドイツやオーストリアに対して宣戦を布告、参戦しました。 海洋自由の原則は、貿易によって利を得ようとする中立国にとって、絶対に譲れない一線だったのですが、ドイツがそれを破り、アメリカ資本主義の利益を否定する行動に出たことが、参戦決定の大きなポイントになったのは、間違いありません。がそれと同時に、アメリカの参戦の直前にロシアで革命が始まっていたことに注意すべきであると、私は考えています。 4月時点ではロシアは、戦争継続を表明していましたが、いつ単独でドイツと講和するかもしれないという危機感も、ウィルソンのアメリカは持ちました。そうなると、連合国の勝利は危うくなるかもしれない。こうした大戦情勢の変化が、いまや巨額に及んでいるアメリカの英仏に対する戦争債権の回収を困難にするかもしれないという、判断もまた米政府にあったことも否定できない事実でした。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.12.16 20:40:41
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