カテゴリ:国際政治
第一次世界大戦(25)
戦費の問題 戦争は、膨大な費用を必要とします。そのためより多くの国民から税金を取り、税率を高めることになります。 17年に参戦したアメリカの場合、すぐに新しい税制を定め、年収2400ドル以上の家庭が課税対象になりました。当初の税率は6%でした。この時期の労働者世帯の平均年収は1200ドル程度でしたから、一般家庭が所得税を払うことはなかったのですが、酒やタバコなどは課税対象になっていたため、税負担がゼロだったわけではありません。 他方で年収が100万ドルを超えるような、高額所得者の場合、超過部分には70%という高率の税が課されました。企業の利潤についても同様で、資本の一定割合を超える大きな利潤をえた企業は、超過利潤税という名目で、最高60%もの税を支払う事に成りました。 こうした増税で、政府は歳入を増やし、増加収入の内105億ドル程度は、確かに戦費として使われました。しかし、これはかかった戦費の33%~45%程度に留まっていました。不足分は国債で賄われました。 外にイギリスやフランスに対する戦時借款が、約96億ドルほどに達していました。これだけの費用が遅く参戦したアメリカでさえ、必要だったのです。 東西に敵を受けたドイツは、さらに大変でした。ドイツは当初から、戦費を通常経費と分け、全て戦時国債で賄っていました。それは、勝利の日には全て敵国からの賠償で払わせるので、かかった経費を全てわかるようにしておくという、ムシの良い計算によるものでした。これが、戦後の大インフレの原因となったことは、間違いのないところです。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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