カテゴリ:国際政治
バイデン政権の困難 その4
バイデン政権の議会対策において、当面の最大の懸案は、1.9兆ドル(日本円換算、約200兆円弱)にのぼる補正予算案を通すことが出来るかどうかにあります。 既に配布した600ドルに加えて、総額2,000ドルとなるよう1,400ドルの個人支給分を含め、様々な困窮者対策、ラストベルトを含む経営難企業への救済策、家賃が払えずに借家を追われた或いは追われそうな人たちの救済策、失業対策などなど、種々な貧困対策を盛り込んだ意欲的な補正予算案です。 左派の要求をある程度汲みながら、トランプ政権が重視した構造不況業種に対する経営支援なども盛り込み、トランプを支持したラストベルト地帯の労働者や労働組合に対する配慮も、抜かりなくちりばめた意欲的な補正予算なのですが、予算措置として考えていた富裕層増税が、当面共和党との全面対決を避けなければならない事情から(事情とは上院の議席配分50:50にあります)、実現しがたいことにあります。 当然議会での審議が始まれば、共和党側は当然財源を問題とし、全てを国債の新規発行で賄うとすれば、財政赤字の急拡大を招くことになると、財政保守派の立場から反対に出ることが確実視されます。 トランプ弾劾裁判の開始を間近に控え、(弾劾裁判は、上院議員たちが裁判官となって、審議するのですから、上院の議場が裁判所の法廷と化して、審議が行われている間は、他の法案の審議は判決が確定するまでストップしてしまうのです)補正予算の審議時間は、大きく制約されてしまっているのです。 ここは、共和党穏健派の主張に耳を傾け、譲るべきは譲る妥協の精神で、名を捨て実を取る妥協が欠かせないことになります。議論が決裂して、補正予算が流れてしまう事態は、共和党主流派にとっても望むとところではないでしょうから、落としどころは見つかるはずですが、減額補正された補正予算が1,5兆ドル程度に落ち着くなら、サンダースら民主党左派も議会対策上やむなしと受け入れるでしょうが、共和党側に押し込まれて、1兆ドル近くにまで減額することになると、こんな案では賛成できないと、民主党内の亀裂が表面化し、今は覆われている党内対立が表面化することになりかねません。 いわばバイデン政権にとって、茨の道が続くのです。これもシューマーのへまで、7日の週から弾劾裁判を始めることになったツケなのです。バイデン大統領とマコーネル共和党院内総務とは、民主・共和両党の対立で縺れた糸を、何度も解きほぐした議会対策の盟友で、個人的には親しい仲でもあるのですが、マコーネルはなお共和党内の多数勢力であるトランプ支持勢力の手前、現時点でバイデン寄りの妥協案を簡単に飲むわけにいかない立場にあります。 どこに解を見出だすのか、まだ読めない状態にあります。 ヤレヤレ大変だ。 続 く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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