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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2011.05.20
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カテゴリ:東日本大震災
相馬訪問記続きです。

***************

【一致団結・・・相馬市役所】

今回、相馬市役所を訪問しました。
相馬市役所では、部長級以上、毎日7時半から18時半まで休まず出勤し、朝8時、夕方6時から、毎日対策会議を開いています。無料法律相談所を行う場所も市庁舎内に設けられ、そこに、弁護士、税理士、土地家屋調査士、行政書士等が、2時半から19時まで常駐する体制もできています。

相馬市内8か所の避難所を、できるだけコミュニティが壊れない形で地域ごとに割り振って、市内の小中学校の給食施設をフル稼働させて栄養士さんの監修の下、食事を提供しており、栄養バランスも抜群ということで、むしろ、避難所の食事がおいしくてメタボになっている人も出てきたという冗談が飛び出すくらい頑張 っています。各避難所には、市職員が泊まり込みで、不満の収集や待遇の改善につなげています。

雇用もなんとか作出しようと、上記の避難所に提供する食事の調理係、がれきの撤去係として大量に市で雇用しています。
仮設住宅建設もスピーディーに進め、6月末までに1500戸の仮設住宅が完成する見込みであり、避難所に入っているすべての住民が仮設住宅に移れる見込みです。
既に4月30日には、仮設住宅の第一次鍵受け渡しがあり、たくさんの方々が市庁舎に訪れていました。

はっきり言って市のレベルでできることは、すべてやっています。しかも、それを驚くべきスピードで、柔軟に、確実に、チームワーク抜群で、です。

市職員にも相当疲労がたまっていておかしくないですが、皆、気力が漲っているのか雰囲気は明るく笑顔も飛び交っていました。

しかし、これほどまでに頑張っている市でも、仮設住宅を作った後のビジョンが描きようがないと言っています。相馬の産業である漁業、農業はがれきを撤去するだけではなく、原発問題が収束しなければ、ビジョンの端緒にすらつけません。
何人もの被災者が「瓦礫は撤去できる、お金があれば船も買える、でも放射能に汚染された海では漁ができない、この先がない」とつぶやいておられました。
今回、まるで合言葉のように「原発さえなければ復興できるのに」という言葉を何十回と聞きました。福島の被災地の偽らざる感情です。

仮設住宅を作って、被災者が入居したとしても、職を失った状態に変わりなく、原発問題もまだある中、一人一人のニーズに合わせて、いかに生活再建を支援していくか、法律家としてきめ細やかに寄り添う姿勢が必要だと思いました。原発の補償の申請等も、高齢者も多い市において、専門家が支援する必要があるのでは ないかと別の日に相馬支援に行かれた先生が仰っており、その通りだと思いました。

今回、南相馬市役所を訪問する機会が時間的に作れませんでしたが、南相馬市は、原発問題をより直接抱えているため深く苦悩しており、相馬市役所のような動きができていません。
南相馬市は、北から、鹿島区、原町区、小高区と3つに分かれていますが、鹿島区は、原発から30キロ圏外で相馬市同様原発については「形式的には」無関係、20キロ~30キロの原町区は緊急避難準備区域、20キロ圏内の小高区は警戒区域と分かれており、各区域により、ニーズも違えば、不公平感も強いという状態であり、南相馬市が、統括していくことは、非常な困難があると思います。同じ市内に見えざる境界線が引かれ、その線の内外によって、補償範囲も違ってくるというのでは、市民にとって不公平この上ないでしょう。

しかし、この難しい南相馬市にこそ、法律家の支援が必要です。現在、南相馬市からも、福島県弁護士会相馬支部に、市役所常駐相談を行ってほしいという要請があり、相馬支部において調整を行っているところです。


【孤軍奮闘・・・弁護士会相馬支部】

弁護士会相馬支部は、登録数8名、実働7名で、市内18か所の避難所を回るとともに、管内3つの自治体の法律相談を、福島支部の若手の先生方の献身的な協力を得ながら実施しています。

この少ない人数でできる範囲をはるかに凌駕した業務量ですが、本当に本当に頑張っておられます。
今回、私が訪問した避難所は、人数30人程度の小規模の避難所もありましたが、小規模避難所だからといって割く労力が少ないということはまったくなく、お話をお聞きし始めると、なかなか途中でお話を切り上げるわけにはいかなくなる内容ばかりでお一人の相談を受けるだけで1時間位はあっという間に過ぎてしまい ます。

そして、避難所相談というのは、物理的に時間が侵食されるというだけではなく、精神的な疲労感が強いです。自分にはどうにもしてあげられない悩みを受け止めているうちに、どうにもできない自分がつらくなってきます。私は少なくとも二日間の相談で、変わり果てた第二の故郷を見てしまったショックと避難所相談の 疲労で、体力というより、心の疲労の回復に少し時間がかかりました。
今回お会いした相馬支部の先生方は、いずれも気が張っているのかお元気そうでしたが、非日常の極みの中、心身ともにお疲れではないかととても気懸りでした。

また、上記述べたとおり、相馬市役所からは、「2時半から19時まで常駐してくれ」という強い要請があり(現在は16時半まで)、南相馬市、新地町からも、相馬市がやるならこちらにも常駐してほしいという要望が出てきており、応えきれない要望に全力で応えようとされています。
ちなみに、上記一連の活動はすべてボランティアで無報酬です。

各法律事務所には、事務所を支える事務局が仕事を続けてくれています。私が赴任していた相馬ひまわり基金法律事務所の事務局とも震災後、初の再会を果たしましたが、心が押しつぶされそうな不安と懸命に闘っています。

二人とも若い女性です。子供が欲しいけれど放射能に怯えてしまうこと、嫁ぎ先の果樹園の土地が風評被害で収益が見込めないこと、この先、仕事をこの地で続けていっていいものかと悩んでいること・・・明るくて頑張り屋の彼女たちがとめどなく不安を語り続けました。
絶対に一人にしないからと抱きしめた彼女たちの身体の温もりが、今も私の腕に残ります。

【千差万別・・・被災者ニーズ】

今回、つくづく感じたのは、既に言い尽くされていることですが、被災者のニーズの多種多様さです。

津波被害に遭うか遭わないか
何を流されたか、自宅なのか事業所なのか船なのか
住宅ローン等借金があるかないのか
貯金があるのかないのか
職業は自営業かサラリーマンか
原発から30キロ圏外か、圏内か
緊急避難準備区域か、警戒区域か
学齢期の子供がいるかいないか
・・・・

上記では書ききれないたくさんの分岐点があり、その先で、どんどん枝分かれしてゆくニーズがあります。一つ一つの問題に対処することそれ自体の重要性は言うまでもないことですが、これらのニーズを俯瞰して整理し、問題の本質にたどり着く作業が絶対的に必要です。

宮城、岩手も、ニーズの場合分けがありうると思いますが、福島の場合、原発が復興に大きく立ち塞がっており、これまで未知の分野だけに、全体像を把握しなければ、適切な補償が不可能だと感じます。
そのための体制作りをどのように行っていけばいいかを、真剣に考えなければなりません。しかも、被災者のニーズは待ったなしですから、悠長に考えている暇はありません。
そしてニーズは刻々と変化していきます。迅速であることも大事ですが、後方支援も含めて、息長く末永く支援を続けていくことも同じくらい大事です。


【福島県弁護士会の先生方へ】

今回は、相馬しか訪問できなかったのですが、赴任中に大変お世話になった、福島支部、郡山支部、会津若松支部、いわき支部、白河支部の先生方にお目にかかってご挨拶できなかったことが、大変心残りです。またの機会に是非伺わせてください。

福島県は、今、全県下に避難所が散在している状況で、県弁護士会の先生方が、心身を削って奔走されていることをお聞きしており、その活動に、心から敬意を表します。
一方で、先生方の心身に無理がかかりませんよう、日々祈っております。
そして、また先生方と笑顔でお目にかかれる日が来ることを信じております。






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Last updated  2011.05.20 09:45:29
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