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弁護士YA日記

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http://hinodecho-law.jp/
日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2018.09.10
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カテゴリ:東日本大震災
​先日、早稲田大学東日本大震災復興支援法務プロジェクト/震災復興支援クリニック主催の、「浪江町現地聞き取り調査」に参加させて頂きました。同調査は、本来2泊3日の行程なのですが、私は、後半の1泊2日のみの参加です。本当に短い時間でしたが、避難指示解除後初めて入る浪江の町並みを、帰還者の方々の想いを、目に心に焼き付けたい、自分の全感覚で真正面から向き合いたいという気持ちで臨みました。

本企画の責任者である須網隆夫先生(早稲田大学法務研究科教授)はじめ、現役生、修了生入り交じる総勢16名の法科大学院生の皆様、現地福島から合流してくれた渡辺淑彦弁護士、平岡路子弁護士、松尾政治弁護士、三村茂太弁護士には、本音で語り合い、涙あり、笑いありの大変貴重な時間を過ごさせて頂くと共に、本当に何から何までお世話になりました。心から御礼申し上げます。

まだ鮮やかな記憶が残っているうちに、今回の調査で感じたことを思いつくままに書き留めておきます。

初日は、調査の主目的である帰還された方々へのインタビュー調査に参加しました。
浪江町は、昨年4月に、避難指示の一部が町の中心部で解除されており、現在、役場職員を含め約800人の方々がお住まいになっていらっしゃるそうです。
今回は、浪江町役場を通じて、浪江まちづくり会社の方々に、インタビューに応じて頂ける方の手配やお伺いする時間を調整頂いたとのことです。大変お忙しい中、多大なご尽力を頂いたこと、心からお礼申し上げます。

聞き取り調査は、2泊3日、全15軒の帰還者のご自宅を、学生数人ずつのグループに分かれて訪問させて頂きお話しをお伺いするという方法で行われ、私は、うち2軒の方のご自宅にお伺いしました。

1軒目では、70代後半のお一人暮らしの男性にお会いしました。
ご自宅に向かう途中、空き家が建ち並び、シャッターが閉まったままの通りを車の中から眺めながらも、でも、少なくても人が住んでいる確かな気配-行き交う車の走る音、風にはためく営業中のお店の暖簾、時折目に飛び込んでくる色とりどりの花が溢れるお庭-を五感で感じ、それだけで心が一杯になるような気がしました。

避難指示解除等が解除される前の2013年、浪江ではなく小高に入った時に、余りの音のなさに、強いショックを受けて帰ってきた私は、人の気配に、ただただほっとし、心から安堵しました。
小高訪問記は下記です。今読み返しても、辛くなります。

​​https://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/201304260000/

このご自宅でも、広いお庭に、お花が咲き乱れていて、とても綺麗でした。
山登りや写真撮影、石の収集がご趣味ということ、ご自宅の中にも、日本百名山の登頂バッジや四季折々の美しい風景を切り取った写真が飾られていました。
でも、一番大きく飾られていたのは、可愛らしいお孫さんたちのお写真。
元々、ご長男ご一家と同居され、5人暮らしをされていたものの、奥様は避難先でお亡くなりになり、ご長男一家は福島県内に避難中とのことでした、ご自身は、昨年の避難指示解除後すぐに避難先からお戻りになったそうです。
穏やかな口調で、こんなことをお話しして下さいました。

海も山も近くて、夏は涼しく冬は雪が降らない、本当に住みやすいでしょう。だから、40年以上前に定住したんだけど、まさかの事故でこんなことになってしまった。うんと賑やかな家だったんだけどね。寂しいけど、でも、ね、仕方ない。

やっぱりさ、若い人が来るためには、仕事とか学校がないとどうしようもないじゃんね。一度避難しちゃうと、子ども達は学校通うし、親も仕事見つけるからね、仕方ないよね。一度大変な思いして慣れてきた学校、見つけた仕事、変えたくないのが普通だと思うよ。生活基盤が向こうじゃ仕方ない。

孫?子ども?いや、全然顔見せないよ。放射能嫌いだって。仕方ないさね。

日中は、いろんな体操とか囲碁と将棋の会とかに出掛けて、なるべく身体動かすようにしている。何も悪いところないからね、今は、医者に行かなくても平気だよ。

野菜や果物は、原町に出掛けて買いに行っているね。車で30分。近くにスーパーがあれば良いけど、この人数じゃできっこないでしょ。やっぱり採算とれなきゃ仕方ないわけで。

二本松ではマンションにいたから、窮屈で狭くて辛かった。戻れて良かったか?うーん、まあ、せいせいはするけどね。故郷だしね、ここが故郷だからさ。良かった・・・うん、まあ、戻って良かったのかな。そう簡単に言えないけど、ねえ。

「仕方ない」と何度も何度も繰り返しながら、微笑む笑顔が、複雑で、でも、すべてを受け止めていらっしゃるような強さもあって、とても暖かでした。

次の記事に続きます。
https://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/201809100001/






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Last updated  2018.09.11 16:07:57
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