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カテゴリ:留学
とはいえ、6~7月はIEI、8月はLaw500でかなりの時間を取られていたこともあり、本当に研究に専念できるようになったのは9月からで、とにかく時間がありませんでした。英語以前に、形になるプレゼンができるのか、焦りと不安と恐怖に追い詰められる緊張する日々でした。自分の研究ですので基本的には自分が全面的な責任を負っているものの、相談できる人には何でも相談しようと思い、プレゼン一週間前には、UIUCのHost ProfessorであるAnderson教授に、プレゼン骨子を見て頂き、非常に的確なアドバイスを頂きました。研究室にお伺いするなり、「あなたがこのプレゼンで言いたいことを2分で言ってみて」とご指示があり、まさかそんなことを言われると思わなかった私が、「自分の言いたいこと」を考え考え、何とか辿々しく話し終えると、「OK!まずは、それが一番大事。何のためにここに来たのか、何を言いたくて来たのか、それを2分でも5分でも10分でも良いんだけど、最初に紹介することを強くお勧めします。聴衆が、その後のあなたの話を目的と関連づけながら聞くことができるから、退屈にならないからね」と今回のプレゼンに限らず一生役に立つようなアドバイスをいきなり頂き、本当にご相談して良かったと思いました。Academic Termも細かく直して頂き、最後に、「アメリカでは、あなたみたいな人を励ますために、Break a leg!っていう言葉があります。私もあなたにこの言葉を贈ります。プレゼンが終わったら、どんな感じだったか必ず教えて下さいね」と送り出して頂きました。Break a leg!という言葉は、大舞台に向かう人に、足が折れるくらい全力を尽くして頑張れ!というニュアンスの言葉で、本当に励まされました。 Anderson教授のアドバイスに従い、自分は一体何が言いたいんだろう、ということを改めて考え、その視点からプレゼン全体の構成を再考し、まだクリアな結論にはとても辿り着けていないと断りつつ、何故わざわざ日本での活動をすべて中断してここまで来たのかを自分で考え抜き、冒頭で説明することにしました。それが下記の部分です。 -What brought me to the U.S. -私をアメリカに連れてきたもの (1)と(2)は矛盾するかもしれないけど、「賠償だけでは被害者を救えない」ということを正面から認識することは弁護士の本来的役割-目の前にいることを救うこと-を考える上でとても大事だと思っていること、でも、「賠償は意味がない」等と評論家のようなことを言って終わるわけにはいかないとも同時に思っていること、賠償が被害者の被害回復のための有効なツールであることは間違いない以上、現場の実務家として、苦しい現状の中でどうやったらもう少し有効なツールに改良できるのかを考えるのも私の大切な仕事だと思っている、というようなことを話しました。 どの程度、聴衆に伝わったかは分かりませんが、うんうんと目を見て頷いて下さる方々もいらしたので嬉しかったですし、自分の問題意識をきちんと整理できたことは良かったと思っています。ただ、プレゼン全体としては、自分の思考が深まっていないことがそのまま現れた非常に未熟な構成で、「比較研究」と言えるレベルに達していないことは行う前から明らかでした。 それでも、拙いプレゼンを15人ものユタ州弁護士会の方々が聞いて下さって上に、実務的な鋭い質問を頂いたことは大きな喜びでした。質問は全部で3つあり、(1)私が報告したメキシコ湾岸のOil Spill事故で補償基金を利用した人、クラスアクションを利用した人との割合の統計はあるか、(2)先日の東電幹部の無罪判決について日本の弁護士としてどのような見解を持っているか、(3)国の責任を認めた判決がいくつか出ているのに、更に訴訟を続ける意味は何か、判決に拘束力はないのかというものでした。 今、渡米して以来の大きな目標だった「ユタ州弁護士会」でのプレゼンを終えたわけですが、このプレゼンの準備過程で学んだことは勿論、実際にやってみて思ったこと、感じたことは本当に大きく、すべてを自分の成長に繋げていきたいと思います。振り返ってみて、改めて何という貴重な機会だったのだろうと思います。 続きはこちら。 https://plaza.rakuten.co.jp/yyy0801/diary/201909260002/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.09.26 20:35:46
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