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弁護士YA日記

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〒420-0837
静岡市葵区日出町5-3
TEL 054-269-4590
FAX 054-269-4591
http://hinodecho-law.jp/
日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2020.05.27
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カテゴリ:留学

5月23日早朝(日本時間では夜)に、早稲田大学の須綱隆夫先生がお持ちの震災復興支援クリニックという講義で、「原発事故賠償の現場から何故アメリカへ」という題でお話しさせていただく機会がありました。

これまで悩んできたこと、考えてきたことを、正直に振り返ってお話しできてちょっとホッとした反面、「学んだことを今後日本でどう活かすつもりなのか」等という学生さんの鋭い質問については、そんなことを考える余裕が何もないまま夢中で過ごしてきた、というのが正直なところだったりします。

大変お忙しい中、早朝から友情出演をご快諾頂き、5分ほどのプレゼンをお願いした、同じく日弁連派遣でLLMを卒業したばかり、高い志とチャーミングな魅力を併せ持つ弁護士の中島朋子さん、UIUC所属の原子力工学者で異分野でありながら、いつもはっとするような視点を提供して下さる私にとって大切なお勉強仲間である櫻原達也さんはもちろん(お二人とも素敵なプレゼンで、ファン急増だと思います!)、向学心旺盛な学生さん、大学時代の指導教官の後藤昭先生、様々な場面で私を折に触れて見守り支えて来てくださった弁護士の先生方、UIUCで出逢ったお勉強仲間など、参加して下さった全ての方々(参加して下さった方々は50名弱とのことです、ZOOMだと気軽に参加しやすいですよね)に感謝申し上げます。

下記に、私が行った報告の要旨を貼り付けておきます。
米国滞在も残りわずかとなりました。日々が今まで以上に愛しく大切です。

********************

原発事故損害賠償の現場から何故アメリカへ?

自己紹介

1977年 富山県生まれ
2002年 一橋大学大学院法学研究科修士課程修了
「法律家は人を幸せにする仕事です」
 My kind of lawyer is going to be a social engineer.
2003年 弁護士登録、弁護士法人東京パブリック法律事務所入所(東京弁護士会)
2005年 相馬ひまわり基金法律事務所初代所長として赴任(福島県弁護士会)
2008年 静岡綜合法律事務所入所(静岡県弁護士会)
2015年 日出町法律事務所開設(静岡県弁護士会)
2019年 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に日本弁護士連合会客員研究員として留学中


東日本大震災&福島第一原子力発電所事故

・「その土地に住む人たちがいて生活を営んでいる」という法の支配の大前提が崩壊
・自分の過去の思い出も弁護士として積み重ねてきた経験もすべて木っ端みじんに爆発した感覚

福島第一原子力事故発生後の活動

・2011年5月~9月
:関東圏の弁護士を福島に毎週末派遣するボランティア事業の裏方事務
・2011年9月~2019年3月
:原子力損害賠償・廃炉等支援機構、日本弁護士連合会、関東弁護士会連合会と協働しての福島への弁護士派遣事業、避難者対象の相談会事業(電話及び面談)等の裏方事務
・原発事故賠償事件(相談、ADR、訴訟)の受任

依頼者を含め、滞在者、全国各地の避難者、両サイドの代理人、弁護士仲間、避難元・避難先自治体関係者、国家公務員の方々等、様々な方々とお話しする中で感じてきたこと

・損害賠償基準の限界
:一度基準ができると、裁量の幅が小さく、柔軟性に欠ける
・損害賠償制度の限界
:原則一件一件の訴訟、集団訴訟も全国各地に点在
:仮に一件勝訴しても他の事件を拘束しない、賽の河原で石を積み上げるように延々積み重ねなければならない
・金銭賠償の限界
:被害に金銭賠償が対応できない
:仮に裁判で勝っても被害の救済にならない
・そもそも裁判含めた司法手続きのゴールが見えない
:よりよい賠償基準の構築?
:よりよい政策の形成?
・弁護士の役割の限界
:弁護士の役割は既にできあがっている基準に基づく損害賠償の代理だけなのか?
:一件一件、一人一人を大事にして、今弁護士ができることは受け取れる範囲での賠償のサポートだと自分に言い聞かせて、最大限の努力を積み重ねていくことだけが、自分のやるべきことなのか?


→留学前の数年間は、理想が何かも、何に向かって努力しているのかもよく分からず、自分の活動が誰のためにどんな風に役立っているのかも良く分からなくなっていた。

メリディアン180への参加

・沖縄、ベルギー、香港で世界中の色々な国の専門家と、原発事故を含むエネルギー政策について議論する会議に参加したり、報告をしたり、またそこで知り合った方々と共著論文を書いたりする機会があった
・英語が全然できないことに加え、自分の考えを整理して報告する力や、異文化や異分野を理解する力がないために、議論をほとんど理解できず、また参加もできず、心底悔しく情けない思いをした。しかし、同時に、事故を含めた原子力エネルギーへの対応は、日本だけに限定される問題でも、法律家だけが悩む問題でもないことに気付いた
・また、結論が出ないことが分かりきっている会議に臨み、真剣に自分の意見を伝えようとする、各国の専門家の「議論すること自体を大事にする態度」にも感銘を受けた。
・すぐに役に立つことじゃないこと、すぐに形になるとは限らないことを学ぶ喜びを久々に思い出した気がした。


→上記数年間のもやもやの出口は留学なのではないか!と直感的に確信し、日弁連の留学制度に応募すると決めた。

研究テーマ

:大規模不法行為の損害賠償制度の日米比較研究
(研究対象)
①クラスアクションや広域係属訴訟(multidistrict litigation)といったユニークな仕組み
②95%がトライアル前和解という和解率を促す制度的工夫
③訴訟外の特別立法や補償基金の設立により大規模不法行為を解決してきた実践例

米国での研究生活

・秋学期にComplex Litigation、春学期にCivil Procedure, Remediesの講義を受講
・9月にユタ州弁護士会にして、日本で原発事故はじめ災害復興支援に取り組んでいた仲間の弁護士たちと共に、自分の問題意識や米国で学びたいこと、日本での活動を報告
・民事事件、刑事事件、少年事件の裁判傍聴
・Nuclear ENGR and Law Seminarへの参加(昨年8月から2~3週間に1度の頻度)
:原子力工学の研究者、日本の官庁からの留学生、法律家とのコラボ勉強会
:トピックは、日米原子力行政、事故時&事故後の対応、統計学的・法的・政策的観点からのCOVID19等。

米国の司法制度の特徴

・予測不可能性(例:ある交通事故)
・多種多様性(ゴールにたどり着く手段が無数にあり、定型的ではない)
・司法の市場における規模の大きさ(司法は主要産業の一つ)
・司法の社会的役割の大きさ(大規模不法行為では立法や行政の機能も担う、大統領や知事の命令を差し止める等)

米国で切り開かれたマインドセット

・今までの人生で感じたことがない劣等感
:講義についていけない、議論に加われない、テキスト読むスピードが遅すぎて読み終わった頃には何が書いてあったのか忘れている
:ネイティブの学生は勿論、留学生も志高く実務家も多く、周囲が全員、自分よりはるかに優秀に思える
・Trial and Error
:次のステージに一気に駆け上がる魔法がないので、とりあえずやってみる
:やってみてうまくいかないのは最早当たり前
:でもやらないよりやった方が必ず得るもの、気付きがある
:自分の頭の中で点在していた点や知識が手を伸ばして繋ぐときがくる
・国籍も専門分野も超えて学ぶこと
:コアになる専門分野、体験を持つことは大事
:一方で、危機に対応出来る汎用性のあるスペシャリストになるためには、異文化、異分野へのアンテナを自分の中に持ち続け、自分の姿勢や学問の方向性を疑う視点を失わないように心がけるべき


弁護士人生の中で大切にしてきたこと

・一件一件、一人一人を大切にすること
・自分の理想を持つこと
・理想に向かって少しずつでも努力を続けること
・諦めないこと

一生を終えて後に残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものである







Last updated  2020.05.27 03:49:49



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