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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2021.06.30
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以前から、気になるニュースを時折メモしたり、親しい友人たちにシェアしたりしていたのですが、ブログでもご紹介しようと思います。

私の主な関心事は、アメリカの大規模訴訟関連ですが、それ以外のことも私のアンテナに引っ掛かったら、触れるかもしれないです。

なお、感想部分はもちろん、内容に触れる部分も、文責はすべて私にあります。

まずは、最近引っ掛かった、大規模訴訟関連ニュース二つ。

1、オピノイド訴訟でNY州が製薬会社Johnson and Johnsonと和解

https://www.nytimes.com/2021/06/26/nyregion/johnson-johnson-opioid-lawsuit-new-york.html?referringSource=articleShare

オピノイドという鎮痛剤に、依存性があって、全米に依存症の患者が増えてしまったという問題で、製薬会社を被告に、全米に3000件以上の訴訟が係属中なのですが、この度、NY州を原告とする訴訟で、陪審裁判に行く直前に和解が成立し、製薬会社が約230億円を同州に払うことになったそうです。

州の請求理由が、我々のコミュニティを壊した、という理由だったこと、製薬会社側は激しく過失責任を争っていたこと、から、あくまでも広報のあり方やマーケティングの手法に問題があったというところでギリギリ折り合い、和解内容は、個々の患者への賠償ではなく、今起きている被害を和らげるための対策や、薬物教育など将来に被害を防止することに使われる名目であると共に、今後、製薬会社がNY州だけでなく全米でオピノイドを販売しないこと、などが盛り込まれたとのことです。

2、ノースカロライナ州が電子タバコメーカーJuulと和解

https://www.nytimes.com/2021/06/28/health/juul-vaping-settlement-north-carolina.html?referringSource=articleShare

ノースカロライナ州が、10代の若者に依存症を引き起こしたとして、電子タバコメーカーを訴えた事案で、被告側が約40億円を支払う和解が成立したそうです。和解の内容には、電子タバコ販売は、店頭ではなくカウンターで行うこと、オンライン販売時には第三者機関による年齢認証システムを導入すること、製品を取扱う各店舗に潜伏し年齢調査をする店員を配置して10代の若者への販売を防ぐこと、35歳以下のモデルを広告に使用することを禁止し、学校近くにはポスターを貼らないことなどが盛り込まれました。

同様の訴訟が、13州で係属しており、カリフォルニアでは、広域係属訴訟(Multi District Litigation,MDL)に統合され、原告を、1、中毒症状や肺疾患などの健康上の問題を訴えるグループ、2、中毒になるような恐れのある製品に対する多額の支払いの払い戻しを求めるグループ、3、学区や週内の郡(county)といったノースカロライナのような形態の賠償を求めるグループに分け、既に、原告らの証言供述書の取得を開始していて、2022年2月に陪審裁判に行くというスケジュールで進めているそうです。

(感想)

いずれのニュースも、州が原告になっています。そこがまず面白いです。州内部に訴訟の専門部署があるんですかね。賠償金を薬物教育のために使うとか、学校近くにポスター貼らないとかは、州が原告であることとも関連しているのでしょう。

和解内容も全般的に非常に興味深いです。判決も和解もそれぞれのメリットデメリットはありますが、内容の柔軟性は間違いなく和解の特性ですね。陪審裁判のリスクは特に被告にとって本当に大きいようで、陪審裁判に行く直前での和解というニュースは頻繁に目にします。

2、では、特殊な訴訟手続であるMDLにも触れられていますが、グループ分けの仕方は面白いと思いつつ、これほど多種多様な内容のケースを一つの手続で物理的にどのように進めるのだろう、この大規模訴訟の枠組みの中における少数者の主張はどのように守られるのだろうかと、興味が尽きません。






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Last updated  2021.06.30 10:13:05
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