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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2022.09.23
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カテゴリ:留学
伊藤啓太弁護士のイリノイ通信続きです。前回は​こちら​です。
私も山程、イリノイ大学グッズを持っておりまして、帰国後も愛用しています(^^)!



イリノイ通信Vol.2
令和4年2月18日
            イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 客員研究員 伊藤 啓太 
1 大学生活
渡米してから,早くも半年以上が経ちました。時間の流れの速さを痛感しています。当初から 想定はしていましたが,日弁連の制度では留学期間は1年となっているところ,関係各所の了解を得て,1年間延長することとしました。2023年8月に帰国予定です。

前回のご報告に書くはずだったのですが,私の住むシャンペーン市はイリノイ大学を中心とした学園都市であり,右の大学のロゴを街の至るところでみかけます。このロゴが入った多種多様なグッズが販売されていて,私もロゴの入ったジャージを一つ買ってみました。そして,そのジャージを着ていると,特に大学街の外では街の人の待遇が良くなります。

イリノイ大学では1月下旬から春学期が始まります。私は今学期は研究テーマである先住民族の権利との関連で,Francois Boyle教授が担当する国際人権法の授業を聴講しています。   今学期も下記の通りコロナの感染状況が芳しくないため多くの授業がズームによるオンライン講義になっています。国際人権法もオンライン講義です。教授は学者であるとともに活動家としての側面もお持ちで,国際人権問題についてその都度アメリカ政府等に提言をしています。私の研究テーマである先住民族の問題に関する講義はわずかでしたが今アメリカで問題になっている服役中のインディアン活動家Leonard Peltierの釈放問題への言及は興味深かったです。
2 研究生活

こちらに来て,一定数の文献・論文を読むことができましたので,そろそろ研究報告を書き始めようと考えています。日弁連から留学費用の援助を受けるためにも研究報告は書く予定です。現時点では,文献等を読み一番関心を持ったこれまでの自由権規約委員会における各国の先住民族の事件に関する判断を検討・分析するつもりです。ただし,これだけであればアメリカで研究している意味が希薄になってしまいます。それが終わり次第,未だ漠然とはしていますが,オジブワ族などのアメリカ・インディアンの文化とそれに対応する権利についてアイヌとの比較において調査を進めたいと思っています。また,サブテーマである北方領土問題におけるアメリカの関与についても並行して文献等に当たっています。

また,イリノイ大学で日本法に関する講義をされている第一東京弁護士会の矢部耕三先生からアメリカン・インディアン法を研究されていたLaurie Reynolds教授をご紹介いただき,先日教授にお会いすることができました。教授は私の日本で進行中のアイヌ鮭捕獲権訴訟や北方領土問題に話に熱心に耳を傾けてくださいました。そして,なんとお持ちのアメリカン・インディアン法に関する多くの書籍を私に譲っていただきました。当然最初はお断りしようとしたのですが,教授がいいから持っていきなさいと念押ししてくださったのと,遠慮しながらもそれまでアマゾン等で検索して高くて買えなかった本が多く含まれていることを目で確認したこともあり,ありがたく頂戴いたしました。

上記の通り大学の授業もズームですが,ズームがあるので弁護団のメーリスでご案内があったアイヌの学習会等にも参加することができており,大変勉強になっています。ズームばかりとなるとそれはそれでストレスですが(アメリカの学校でも社会問題になっています。),日本で行われているイベントにアメリカで同時に参加できるという利便性はやはり素晴らしいです。

 なお,今学期から学部のインディアン関連の講座を聴講する予定でした。しかし,同じ大学でもロースクールの客員研究員が他の学科の授業を聴講するというのは,手続的に簡単なことではないらしく,私の担当教授のHeidi Hurd教授にいろいろと働きかけていただいていますが,現時点で聴講できていません。うまくいくこともあれば,うまくいかないこともあります。
3 裁判傍聴

昨年12月13日には,同じく日弁連から客員研究員として派遣された方と一緒に私が住むシャンペーンの隣町アーバナ市にある二つの裁判所に傍聴に行きました。ご存じの方もおられると思いますが,アメリカに州と連邦の2系列の裁判所があります。事件内容によって管轄が異なります(重なる場合もあります)。アーバナ市では両裁判所は隣り合っています。

まず,州の裁判所を訪問しました。当初はその日に行われるはずだった違法拳銃所持の刑事事件の陪審員選任の手続を傍聴するはずだったのですが,直前に弁護人が交代し方針を再検討するということで手続が流れてしまいました。当日傍聴したのは刑事のプレ・トライアル(公判前申請手続)というもので,起訴された事件を公判にするかしないかを決める手続です。

面白かったのは,一つの法廷に何人もの被告人・弁護人・検察官(州の代理人弁護士)が一堂に会して手続が行われていたことです。三者が法廷各地に散らばり,裁判官から事件番号と名前を呼ばれると,主に弁護人が挙手をして遠くから裁判官とやり取りをして,進捗報告し,次回期日を決めて当該事件の期日が終わります。各事件1分ずつくらいです。検察官は基本的に異議なしと発言するだけです。多くは公判にならないように事件が落とされていくそうです。日本ではプライバシー等の観点から複数の刑事事件を同時に行うことは考えられませんが,こちら裁判官の事務処理の便宜を優先させているようでした。実際裁判官はとても忙しそうでした。

なお,近時身柄拘束中の被疑者・被告人が法廷に入る際の手錠・腰縄が問題となっていますが,アメリカでも手錠・腰縄問題はあるのかと注意して傍聴していました。私の予想として,アメリカでは無罪推定が浸透して手錠・腰縄もなく,よくある「アメリカはこんなに進んでいる,それに引き換え日本は…」という文脈になるのかと思いきや,被告人は手錠はもちろん,足錠まではめられて入廷していました。私は足錠の実物はそれまでは網走監獄博物館でしか見たことがありませんでした。動きづらさは日本の被疑者・被告人以上です。しかもその姿を上記の通り他の事件の被告人も同じ法廷にいますのでしっかりと見られています。予想外にアメリカでも被告人への人権意識は希薄のようです。

その後,連邦裁判所に行ってみたところ刑事事件の判決期日が開かれているところでしたので傍聴しました。内部の作りが豪華で州の裁判所との予算の違いを感じました。時間になっても検察官が現れず,かなり遅刻してきて日本人のような謝り方をしていました。連邦の裁判所で傍聴したのは白人男性が性犯罪で起訴された事件でした。再犯者でしたが日本の感覚だと懲役2~3年くらいかなと聞いていたところ,懲役10年が言い渡されました。再犯による刑の加重が日本より大幅に重いようです。裁判官は,州の裁判所と違い,事件数が少ないためか余裕があり,判決の後も被告人の経歴をいろいろと聞き,様々なアドバイスをしていました。そして,裁判が終わり,被告人が退廷するところ,手錠・足錠を付けているのか確認したところ,何もつけていませんでした。こちらの方が州の事件の被告人より悪質ではないかと違和感を覚えましたが,身柄拘束は罪の重さで決まるわけではないので思い直しました。
4 新型コロナ関係

日本よりもアメリカの方がコロナの感染状況が重大であることは皆様ご存知かと思います。イリノイ州でもオミクロン株の蔓延は収束しつつあるようですが,州全体ではこれまで300万人近くが感染しており,5人に1人以上がすでに感染していることになります。

それでは,こちらの人達がよりコロナ対策をしているかと言われればそうとも言えない気がしますがよくわかりません。近所で若者たちがパーティーをしている様子を見るとマスクを付けているようでもありません。また,ロースクールの建物に入るときには,ワクチン接種証明やPCR検査の陰性証明を提出して取得できるボーディングパスというネットの画面を携帯電話で入口にいる係員に見せなければならないのですが,そもそもその係員が不在のことが多く,あまり機能しているとは思えません。たまに係員がいると逆に驚いてしまうほどです。一方,例えばバスに乗ると,やはり乗客はみなマスクを着用しているので私も急いで付けるようなときもあり,現地の人のコロナに対する感覚が未だつかめていません。

私は,週に1回は大学が実施しているPCR検査を受けています。今のところ感染してはいませんが,いずれ感染するだろうとは覚悟していて,感染しないことよりも,感染したときにどう対処するかの方が重要と考えています。
5 治安

日本人が海外に行く際に不安になるのが治安のことですが,渡米前の触れ込みとしては,大学周辺は学生街でむしろ日本より治安がいいということでしたので,さほど心配していませんでした。しかし,現地入りしたその日にホテルの近くのサークルKで銃撃死亡事件が起き,一気に不安になりました。その後も,いくつか近所で武装強盗事件が発生したなどの情報を耳にしています。なお,そういった事件情報は大学のサイトで確認できます。また,大学の警察組織があり,大学街で事件が起こると全学生にメールで通知されるシステムができています。

現時点での印象としては,いくら学生街だから安全とはいってもやはりアメリカの一部であり,日本と同じような感覚ではいけないとったところです。
6 人種の問題

現在住んでいるイリノイ州シャンペーン市の人種に関する昨年の統計をみると,白人が約65%,アフリカ系が20%弱,アジア系が約15%になっています。しかし,大学内やキャンパスタウン(大学周辺地域)では,色々な人種が入り乱れていて,とてもそのような比率には見えません。一方,少し町外れに行くとほぼ白人の住宅街が始まり,統計の数字に納得できます。

また,周りの方から,アメリカに行って人種差別を受けるようなことはないのか聞かれることがあります。大学内や大学付近では理解が進んでおり,さすがそのような差別を受けることはほぼありません。一方,そこから外れると,そういったことがあるのは否定できません。例えば,こちらの人達は新型コロナはアジア人が持ち込んだものだと考えているので,私とすれ違う時に急に口を塞いだりするようなことです。私自身はそういうことがあっても特に気になりません。逆に,私がアジア人・日本人だからという理由で,特に移民としてアメリカに来ている人は,現地人より私に優しく120%の対応をしてくれる場面もあります。個人的にはいやなことがあってもいいこともあるので,気持ちを整理できます。しかし,もちろんですが,普通はなかなかそのように考えることはできないでしょう。
7 日常生活

  冬になりましたが,北海道のように寒くはならないだろうとたかを括っていたところ,毎日のように氷点下10度を下回る寒さとなり想定外でした。雪は少ないのでいいですが,路面は日本のように凍りつき,何度も転倒しかけました。また,こちら自動車に冬タイヤをつけるという発想がなく,車はよく滑っていて危険です。春が待ち遠しいです。

多少は慣れてきましたが,やはり英語の問題は大きいので,今年から英会話教室に通うことにしました。大学が開いている英会話学校もあるのですが,授業時間が日中でロースクールの講義と重なってしまうため,アーバナ市が開いている夜間の無料の英会話教室に通っています。講師は昔,関西学院大学でも英語を教えていたSundberg博士です。週2回5~6名の世界各地からの生徒が集まり英語の基礎から学んでいます。アメリカに来たばかりの生徒もいて,英会話能力は私の方が高く,こちらに来て数少ない優越感を感じことができる場です。しかし,油断しているとおばさん達がそれぞれの自国語で大声でしゃべりだしてしまうので,私も負けじと大声で発音しています。春学期が終わり次第,大学の英会話教室に通う予定です。

また,3月に帰国される在留日本人の方から,車を譲ってもらうことになりました。車があれば,一気に世界が広がることは間違いありませんが,事故に気を付けます。入手次第片道3時間程度かかりますがシカゴまで遠征する予定です。シカゴの様子は次回ご報告できるかと思います。

                                            以上

​続きは​こちら​です。​





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Last updated  2022.09.23 12:19:08



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