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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2022.10.09
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カテゴリ:弁護士業務
昨日、台風15号の被災者向けに清水区で開設している「生活なんでも相談会」に相談担当者の一人として行ってきました。この相談会、静岡県弁護士会の永野海弁護士、植松真樹弁護士をはじめとする極めて優秀で情熱的な会員が奔走して開催に至ったもので、この短期間で大変な準備に関わったすべての方々のご尽力に心から敬服しております。

10月3日から静岡市葵区、駿河区、清水区で連日開設している、この相談会、大盛況で、一週間も経過していないのに既に相談件数が110件を超えています。「静岡市断水解消」という報道だけ見て収束したような印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、実際には、県内各地で現時点で分かっているだけで​2635件の床上浸水​が発生しており、ただ、まだ捕捉し切れていない被害があるのは確実という、今なお、被害の全容が分かっていないという深刻な状態です。

当然、現地相談会でも、以下のような、この上なく重い相談が多数寄せられ、士業で知恵を出し合って、今できるアドバイスをしつつも、絶対に必要な支援制度の提案を県弁護士会として申し入れる方向性での立法事実を集積している状況です。

・賃貸住宅の1階に住んでいたが、浸水し住めなくなった。大家さんにはすぐに出て行くようにと言われているが出て行く先もなく、泥水の入った家の中に、台を置いて、その上に布団を敷いて寝たり、車中泊をしたりして、しのいでいる。
・持ち家自宅2階に住んでいるが、1階が浸水し使えず、家族全員2階で暮らしているが、カビや細菌の発生も気になる中、他に避難する場所もお金もなく家の修理にも取りかかれず、1階に用事があるときは土足で歩く生活に心身ともに憔悴してしまい、何日間も寝られていない。
・裏庭に土砂が入ってきて、今にも家が押しつぶされそうだが、土砂の撤去費用を見積もると数百万円と言われた。また仮に土砂撤去してもまた雨が降れば二次災害が起きるかもしれず、ペットを連れて出て行ける場所もなく、毎日不安と恐怖で辛くてたまらない。

そう、台風15号の被害はまったく終わっていないどころか、現在、急拡大中なのです!
この現状が伝わっていないことがひたすらもどかしいです。地震や津波、土砂崩れのように外観からは被害が伝わりにくいことも一因なのでしょうが、このような分かりにくい被害を可視化することも私たち法律家の役割だと思います。

このような中、開催された初めての土曜開催の相談会に、全国から頼もしい助っ人、津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)、宇都彰浩弁護士(仙台弁護士会)、小野寺宏一弁護士(仙台弁護士会)、鈴木秀昌弁護士(第二東京弁護士会)です。いずれの弁護士も、これまで発生した大災害で被災者に寄り添う支援をされてきた経験のある災害エキスパートで、相談会場に登場されただけで、相談担当者一同、勇気百倍、元気百倍になる気がしましたが、一緒にご相談に入って頂くことで、その真価は、なお輝きました。

私は、宇都弁護士とご一緒させて頂いたのですが、必死の思いでここまで辿り着かれたのでしょう、お話ししながら涙を流される方に対して、「東日本大震災の時も同じようなことがありましたよ」と過去の経験を踏まえた極めて的確で実務的なアドバイスをされつつ(たとえば、準半壊の判定が出そうで、そうなると余り公益支援がないとの訴えには、罹災判定は何度でも異議を出せるし、古い家の場合、浸水で基礎が浮いていることがありますよ、そこを写真撮って下さいね、それが二次判定で大事です等)、何より、「大丈夫、焦らないで。今二週間で、疲れがピークに達しているところですよね。でも、これからですよ。これから支援策が固まっていきます。疲れている時に大事なことを即断しない方が良い。一緒に悩んで一緒に考えていきましょう」というメッセージを、大きな笑顔、穏やかで気さくな口調で、優しく暖かく伝えておられるご様子にとても感銘を受けました。実際に、ご相談者の方は、見るからにほっとされていました。力量のある弁護士が担当する「相談」の持つ力の醍醐味を見せて頂いた気がします。

宇都弁護士以外にも、優しく細やかな気遣溢れる静岡の柿崎博昭弁護士はじめ、同じブースにいた他士業の先生方の専門知識や相談者に対する姿勢にハッとさせられる瞬間が多く、本当に勉強になりました。

そして、この日は、17時から清水区押切地区の住民の方々を対象とした現地相談会があり、清水区役所相談会に参加していた弁護士(永野海、植松真樹、後藤真理、柿崎博昭、各静岡県弁護士会所属弁護士と、上述の助っ人カルテット、私の計9名)は、そのままその相談会にもスライド参加しました。

相談会は、さすが、ボランティアのNPO法人、PTA、地域の方々の企画で、足湯や軽食、コーヒーやお菓子の提供等、被災者の方々が集まりやすい工夫が満載だったためでしょう、小さな公民館の一室が、約30人の住民ではち切れそうに一杯になりました。

沢山の参加者を前に、東日本大震災時の南相馬市行政区派遣事業を思い出し、弁護士会館や法律事務所という相談者にとってのアウェイの場所ではなく、相談者にとってのホーム(住んでいる地区)を相談の場に設定することの計り知れないメリットを改めて感じ、個人的には大変感慨深いものがありました。このような場を設定して下さったすべての方々のご尽力に感謝申し上げます。

ここでは、最初に、永野弁護士による支援制度の説明があったのですが、永野弁護士が、大事なことにポイントを絞りつつ、どこまでも分かりやすく、どこまでも凜としており、本当に真剣に何かを伝えようとしている人は、こんなにも美しく気高いのか、と泣きそうになりました。かなり前から思っていましたが、永野弁護士は、人間国宝ですね、ホント。宇都弁護士、津久井弁護士も説明を補足して下さったのですが、お二人の人間力に会場全体が暖かなオーラに守られているような雰囲気を作り出してくださいました。

その後の、住宅修理のプロの方々のお話も、とっても分かりやすく勉強になりました。浸水後は、一見何もないように見える床下や壁が、放置するとカビだらけになってしまうというお話は、非常に説得力がありました。

このように説明者のプレゼンも素晴らしかったのですが、同じ地域で同じような被害に遭われた方々同士の連帯感もあるのでしょう、参加者の住民の方々の集中力、切迫感により醸成される活気は、気圧されるような勢いがあり、全体質問も個別質問も、途切れる気配がなく、9人の弁護士がフル稼働で夢中で相談対応にあたって、終了した時には、20時を回っていました。

アドバイスといっても、確定的なことを言える段階ではなかったのですが、それでも、この日参加された方々のお心が少しでも軽くなっていると良いなあと心から思っております。

これからが本番の被災者支援ですが、静岡県弁護士会のマンパワーにも限りがありますので、SOSを出させて頂くことになると思います。その節には、どうぞ宜しくお願い申し上げます。





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Last updated  2022.10.10 09:47:56
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