魔法使いの嫁
魔法と魔術は違うのだそうです。はっきりした定義はよく分かりませんが、魔法は持って生まれた才能のようで、魔術は科学が絡んだ後天的なテクノロジーで似たような効果を生み出すものみたいです。考えてみればテレビとか飛行機とかスマホとか、500年くらい前の人にとっては全部魔法ですよね。主人公はチセという名の日本人でした。赤い髪に緑の瞳、魔女の典型的な風貌のようです。彼女は生まれた時から普通の人が見えないものが見えていて、スレイ・ベガという魔力に対して感度の鋭い特別な存在でした。それゆえに魔力を際限なく吸収・放射してしまい、長生きができません。家族を失い一人になったチセはイギリスの闇オークションで売りに出されます。彼女を競り落としたのはエリアスという名の魔法使いでした。人間じゃなかったですね。頭が恐竜の頭蓋骨みたいな異形の妖精(?)です。エリアスはチセの魔法使いとしての無限の可能性を知っていて、彼女を弟子として、そして未来のお嫁さんとして大金をつぎ込んだわけです。チセはイギリスの田舎の美しい家でエリアスの教育を受けつつ家事妖精シルキーと使い魔の黒犬ルツとともに暮らし、次第に不幸な過去と向き合い、魔法の世界に慣れ親しんで行きます。エリアスは冷静なイギリス人紳士のようですが実は心に魔物がいて、人間の感性がよくわかっていないんですね。チセから逆に学ぶことも多かったと思います。『魔法使いの嫁』(英題: The Ancient Magus' Bride)は、映像が美しいファンタジーで、ラファエロ前派の絵画を見るようなアニメでした。作者のヤマザキコレさんがハリー・ポッターの大ファンだそうです。だから舞台がイギリスなんでしょうかね。ドラゴンの国や妖精の国、いろんなキャラが本当に存在しそうな感じで登場します。みんな違和感なく共存し、妖精の女王はセクシーでドラゴンの長老はやさしく、なにより自然が美しい。 全24話サブタイトルが英語のことわざか教訓のようでした。April showers bring May flowers.(4月の雨が5月の花をもたらす)Nothing seek, nothing find.(探さなければ、何も見つけられない)特に探したわけではなかったのですが、美しいアニメを見つけられました。