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テーマ:私の図書(49)
カテゴリ:本
綻びゆくアメリカ ジョージ・パッカー 2013年
The Unwinding ; An Inner History of the New America 保険会社は、「フロリダは、詐欺師だらけ」と評しているそうだ。フロリダ州タンパで繰り広げられた不動産投機詐欺に翻弄された人々の様子がよくわかりました。欲にかられた人々がねずみ講にひっかかり最後に破産していく街の様子が哀れで、アメリカ人のさがを突いているようです。フロリダでは、50万件の抵当物件が発生したそうです。アメリカ各地で似たような金融犯罪が繰り広げられ、全米で50兆ドルの借金になったそうです。 元凶の銀行は、訴追もされず、抵当物件の回収と競売に走り、形式を繕ったでたらめ書類で大量訴訟を裁判所に持ち込み、人々から資産を取り上げていく姿に唖然とします。人々は、「正義は金持ちのためにある」と悟らされるそうです。こんな中にも、目覚めて社会運動家となっていく老婦人や街の弁護士、究明記事を追う新聞記者もいるそうです。本書では被害者の借金を棒引きにすればよいのにと疑問が呈されていますが、オバマは何もしていないそうです。果敢に金融界と戦おうとしたエリザベス・ウォーレン女史をオバマは切ったそうです。共和党も同じで金融界の犯罪追及姿勢はないようです。ロムニーにしても候補になれたのは支持されたわけではなく、オバマ以外ならだれでも良いからで、閉塞政治のようです。 ITバブル、不動産バブルを著名な投資家はどのように対処してきたか、ピーター・ティールについてよくわかりました。スタンフォードの優秀な学生から証券取引、クレディ-・スイスと経歴を重ね、シリコンバレーに戻り、スタンフォードで講師をしながら優秀な者同士で起業し、巨万を築いていくさまは目を見張ります。 ITバブルが崩壊しても会社を売却して24万$の投資で5500万$を得て、その後、2004年フェイスブックの立ち上げに50万$融資し、ハーバードの二年生のザッカ-バーグに「しくじるな」と檄を飛ばし、2012年には融資額を転換された株式を売却し、売却益は10億$超にまでなったそうです。 この間、投資会社を経営し、6年で700倍の運用残高までとし、70億$を運用していたそうです。住宅バブルは見越していたそうですが、損失を負い、運用額70億$が3.5億$の個人資産のみに減ったそうです。それにしても、実態経済とはほど遠い虚益に驚きます。 本人の価値観は、リバタリアンで、一切の規制を嫌い、同性愛者で、強欲を擁護し、優秀な者が勝つ社会を理想としているようです。米国の憲法も過去の遺物とする価値観だそうです。現代は、「不平等が拡がり続ける現象」と言い切るようです。 投資分野としては先端技術に着目し、抗加齢治療、人口知能などだそうです。インターネットについては、収支としてはプラスだが、さほど有益でなく、現実逃避的宿命だと。インターネット企業は自閉症かアスペルガー気味の人ばかりと評しているそうです。 現代を「テック・スローダウン」と評し、40年前に比べて対して変化していないと、アポロや音速ジェットに比べればスマホはささやかで、技術革新とは思えないそうです。 彼にとっては、所詮、投機材料となるのでしょう。公共性、社会性が異次元の人間のようです。Wikiによればリバタリアンは、アメリカ人の中に案外多いようです。アメリカ格差社会の頂点の人種のようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 13, 2015 02:29:54 PM
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