|
テーマ:私の読書(26)
カテゴリ:本
世界を動かす技術思考 木村英紀 2015年
要素からシステムへ 半導体露光装置の日本メーカーのシェアが、2000年代以降低下し続け、オランダのメーカーに席捲されてしまったそうだ。1990年代80%であったものが、20%だそうだ。日本製品が要素の部品として活用され、水平分業で調達して組み上げるシステムでオランダの企業一社に抜かれたそうだ。 社会インフラの先進技術をパッケージ化して輸出しようと10年来とりくんでいるが、新興国の市場の成長に見合うだけの成功はしていないのが、日本のインフラ輸出の現実で、技術や単体の装置は優秀でもシステム化する実力が不足しているのではないかと提起されています。 技や高性能の単体製品だけで勝負するのではなく、ライフサイクル全体を通した管理・運営ができるようにシステム化した商品サービスを提供するビジネスが必要なそうです。 次世代ロボットは、米国では手術ロボットとして医療器具としてシステム化されて活用が始まっているのに、日本の次世代ロボットは踊ったり走ったりさせて趣味に走って喜んだだけで、システム化がなされず、日本の要素技術をシステム化した海外の次世代ロボットに敗北したそうです。 欧米は、システム科学技術(IT技術ではないそうです)が、石油、水、資源探査、航空、シンクタンクなどの産業で中核技術として活用されて、モデリングや最適化技術を駆使する技術者が活躍しているそうです。このシステム科学技術力が日本は欠けているそうです。 「ものづくり」に固執するのではなく、目的と機能要素を適切に結び付ける柔軟な発想力、システム技術力に日本の未来がかかっているそうです。 布施哲の「米軍と人民解放軍」では、航空自衛隊は、空戦技術にこだわり、腕は相当よいのだが、戦略・戦術運用がシステム化されず、弱いと読んだ気がする。F15戦闘機はアナログ機で、米や同盟国の情報ネットワーク化された演習にも参加できなくて別空域で飛んでいた。後方・補給ロジスティクスが弱くて情報戦略は弱いらしい。 70年以上前から、着眼も着手も小局で、技に溺れてしまう弱点は、変わっていないかのようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 29, 2015 03:38:45 PM
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|