偽物の月。
『ひまわり -Pebble in the Sky-』感想 月相:下弦アクアルート、攻略完了。人は生きるために生きている。父親と同じ結論に達しながらも、素朴な教訓の範疇に自説を収めた陽一。誰もが幸せに生きることを望んで何が悪い、という開き直りは、『自分が一生幸せにはなれないであろう』陽一が言うからこそ説得力が生まれる。二度と返らない幸せな日々を胸に、惰性で生き続けるアクアと陽一は惨めな抜け殻。過去を振り切り、少しだけ幸せになれたという気持ちは全て錯覚。偽物には価値などない。夜空の星が全て消えてしまえば、プラネタリウムの存在意義も消失する。不幸の連鎖と、絶望の波状攻撃。奇跡は奇跡でしか補えない。だからこそ、「この星の空があおい理由」を説く意味がある。『ひまわり』ここに在りだ。泣きたくなるぐらいに打ちのめされて、やはりこの作品は凄まじい物であると再確認した。追加要素としては、「○○○の写真」の追加CGが秀逸。アイテムが視覚化されたことで、陽一が失った幸せの大きさも浮き彫りになる。アクアルートは今作最大の見せ場だというのに、またしてもエンディングに歌曲がなかった。これはおかしい。仕様とは思えない。現在、バグを疑っている。