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テーマ:読み聞かせ(295)
カテゴリ:絵本
もう1冊、ガアグ。ガーグ、ガァグという表記もあるので検索注意。綴りは Gag なんですね。どう読むのが原音に近いのか。
なんにもないない 廃農場の片隅に、ひっそりと住む犬の3兄弟。末っ子の名前は「なんにもないない」何しろ誰にも姿が見えないから。それでもとんだりはねたり、きょうだいとほえあうこともでき、仲良く暮らしている。「みえなくたって おまえがすきさ」「みえなくたって おまえはおまえ」風や匂いの姿は見えねどそれらは本物、とびきりのもの。それをよく知るきょうだいに囲まれて、ないないはとてもしあわせ。 ある日農場へやってきた男の子と女の子、仔犬を見つけ、1匹ずつ抱き上げて連れて行ってしまう。ないないには気づかずに。あわてて追いかけたもののはぐれてしまうないない。ひとりぼっちになったないないは、生まれてはじめて姿がほしい、見えるようになりたいと願う。 姿が見えなくてもかまわないのに。初読の感想はそうだった。見えないきょうだいと嬉々として遊ぶ2匹も、引け目を感ずることなくのびのびと応えるないないも、どちらもその姿は美しい。みんな違ってみんないい。でも、黙読ではなく声に出して子どもたちに読んでやるうちにその気持ちは変わっていった。そのままのおまえが大好きだよ、は母の視点、家族の視点なのだ。だから世界がそこで完結している間はそれだけで充分。安定した一枚絵のような、完全な幸福。でも外へ出たいと思った時、外界と関わりたいと思った時、見えないままでは足りないと、ないないは自覚する。 うーん、10年以上母親業をしている内に、すっかり私もお母さん読みになっていたか。それはそれであっていい視点だが、それだけでは私も足りない。静かで地味な本だけれども、借りてよかった。気になる時にまとめ読み、はやはりいろいろ有効なのだな。 やっとないないがきょうだいと再会した時、女の子と男の子は荷車で3つの犬小屋を運んでいる最中だった。それは無意識のうちに3匹目を迎え入れる準備が子どもたちにできていたことを示している。ガアグ、抜かりなし。創作民話といった趣だが、取り扱いテーマは20世紀。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.01.31 02:54:38
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