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テーマ:読み聞かせ(295)
カテゴリ:絵本
タイトルが素敵で思わず借りてしまった。こう、心意気というものがあるよね。
小さくってかわいい仔猫のミミ、毎日飼い主のママさんにリボンを取り替えてもらい、おいしいミルク、素敵なベッド、悪戯さえもかわいらしいと叱られること一つなく、文字通り猫っ可愛がりの日々。でも一つだけ禁じられていること「屋根に登ってはダメよ」、それはミミの密かな望み。でもリボンが汚れるのは嫌でしょうと諭されてとりあえず我慢。ミミはお洒落さんだから。それでも日増しに大きくなる屋根の上の世界への憧れ。ダメな理由を聞いてもママさんは「とにかく危ない」「あなたみたいな仔猫にはわからない」。遂にある日とうとうこっそり登って屋根から落ちて、脚を骨折。「わかったでしょ、屋根は危ないの」「うん、わかったんだ、屋根に登れない猫なんて猫じゃない。だからこれから毎日登る!」 危険から注意深く遠ざけられ、過保護に育った愛玩動物が、自我に目覚め、自立の道を探るお話。失敗してもくじけずに、毎日の練習の果てにすっかり名人クラスの屋根のぼりになったミミは近所の猫たちにも屋根のぼりを指導、「諸君、人生には登るべき屋根がたくさんある!」。今ではすっかりママさんも、そんなミミがご自慢。危険な競技に挑戦したがる子どもを必死に引き留め囲い込もうとしていたお母さんが、その子が金メダルを手にする頃には大のファンになっているような感じ? 作者はフェルナンダ・L・デ・アルメイダ。画家はセシリア。後者はブラジルのイラストレーターだそう。楽天ではまったく取り扱いがないみたいです。この本に限らず、この会社のものは。アマゾンでは中古のみ。他いくつかのネット書店では書誌のみあれど「お取り扱いできません」表示。まだ出て10年だし、いい本なんだけど、もったいない。版元の新世研は第三世界の絵本を精力的に紹介していた出版社のようですが、5年ほど前からはたと出版物が無いようなので、つまり潰れてしまったんでしょうか。1冊の絵本のポルトガル語版と日本語版を同時に出版する試みを続けていて、ブラジルから来ている子どもたちを支援する人たちに重宝がられていたところらしいのですが。 絵本の翻訳コンクールも主催していたそうで、この本の訳がこなれてないところがあるなと思ったら、実はそのコンクールの課題テキストで、出版されたこれは優勝者の訳文なんですね。で、どうしても気になるところが一点、この猫、一人称がボクになってますが、女の子じゃないの? ポルトガル語だから原文では性別が明らかにされていないのかとも思いますが、普通ミミって女の子の名前だよね。鳴き声からとったのなら男の子でもあり? お家の中でのファッションショーで最初は誤魔化されているあたりとか、女の子な感じなんだけど。そりゃあ男の子がリボン好きでもいいけどさ。家ではいたずらし放題が許されているのはどっちかというと男の子とそのママという気もしないではない。どっちもアリと思って書いたのか、著者情報を持ってないのでその辺りがわからない。とりあえず、冒険は男の子の専売特許ではない、とだけは言っておこうと思います。 我が家ではこの猫のメンタリティにいちばん近いであろうナンが、案の定はまっております。日がな一日鏡の前でファッションショーに興じて飽きないタイプでありながら、一番好きなのは器械体操という子なので…。新年度からはレッスン日を増やしたいと亭主殿を攻略中です。やりたがってるんだからそうさせてあげるつもりですが、ちゃんとその気持ちを表明したり説明したりの訓練をさせたいので、援護射撃はせずに母は成り行きを見守っております。 ゼロはポップな絵が気に入ったらしく、すごい勢いでめくったり、戻ったり。絶版なのがわかった以上、この図書館の本を破くことのないよう、おちおち目を離してもいられません。 はっきりした色遣いと描線なので、クラスで読んでも大丈夫。1対1より複数相手向けだと思います。世界が外へ大きく開いている本だから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.02.05 10:29:02
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