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テーマ:読み聞かせ(295)
カテゴリ:絵本
DVDの紹介でこの絵本が出てきたのでぶら下がり記事ってことで。
子どものいちばん欲しいもの、といえば大好きな人の「ぎゅっ」で決まり。お人形やぬいぐるみが出てくる絵本は、だからその気持ちが純化された形で表現されます。
『くまのコールテンくん』、英語ではコーデュロイですが、ここはやはりコールテンくん。布地用語だとコール天、が正しいのかな。いまだに古びないのはすごい。ボタンがとれてても大好きよ、でもひもがずれると着心地悪いでしょ、だからボタン、つけてあげる…完璧。ともだちってこういうことなんだね!って、コールテンくんじゃなくても叫んでしまいます。 ぬいぐるみも人形も、「ともだち」つまり遊んでくれる子どもとめぐりあえなければ、幸福を得られない宿命。けれど彼らには「想い」を抱いたり「願う」ことしかできない。
『ごきげんなライオン』のコンビの、これはぐっと女の子向けの物語。高価なアンティーク人形が小さい女の子と遊ぶ幸せがほしくて一心に「願う」お話。標題は『マリーのお人形』ですが、物語はお人形視点。江國香織は絵本の翻訳をかなりの点数こなしています。 さて人形の「願い」について基本路線をうちたてたのは↓この人ルーマー・ゴッデン。ロボット界におけるアシモフと思ってください。
イプセンではありません念のため。でもフェミニストならイプセン以上にゴッデンを読むべきだと思う。『ねずみ女房』『バレエダンサー』『ディダコイ』…必読書揃い。 こちらの『人形の家』はドールハウスのこと。木製のオランダの一文人形トチーの「願い」を受けて、ぼろぼろのけれど由緒正しいドールハウスを譲り受けた姉妹が少しずつ手入れをしていく様子はドール好き、刺繍好きにはたまらない描写。でも高慢なアンティークドールが遅れて届いたために、人形たちの運命に暗雲が…。 トチーのつつましい気高さには胸うたれます。堀内誠一のイラストもマニアックな考証ばっちりのいい仕事。瀬田訳の品といい、瑕のないほんとうに上等な物語です。
『くまのコールテンくん』の姉妹本『くまのビーディーくん』。こちらはぜんまい人形で、持ち主は男の子。ときどきねじをまいてもらわねばならない、というあたりが対等でない感じでわたし的には減点なのですが、こちらのほうが好き!という子のほうが想いが深い感じがします。愛情をそそぐ儀式、ととらえてるわけね。でもやっぱりそこはかとなく共依存ぽい。 ↓よろしかったら押してください お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.07.15 12:02:17
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