本のタイトル・作者
去年の雪(1) [ 江國 香織 ]
本の目次・あらすじ
親子、ともだち、恋人、きょうだい、夫婦―――。
離れた星と星をつなぎ、星座を描くように。
遠くと近く。昔と今。あちらとこちら。
切り取られた一場面、日常の隙間。混ざり合う過去と未来。
パッチワークのように繋がり、世界は丸く包まれる。
引用
「デジャヴってね、過去の記憶じゃなくて未来の記憶らしいよ」
紺色の、いかにも手触りのよさそうなセーターを触って見ながら玻璃が言った。
「未来のいつかに今を思いだすだろうって、脳が先取りしてなつかしく感じさせるんだって大沢さんが言ってた」
感想
2021年読書:018冊目
おすすめ度:★★★
こぞのゆき、と読む。
灰色の空から、はらはらと雪片が降って来る。
それを見上げている。
無数のそれを、ただ見る。
ひとつひとつ、重力に従って、風に舞って、落ちて行く。
降り積もる、溶けてゆく。
そんな雰囲気の、小説でした。
ひとりあたり、1ページから2ページ。
短い話がどんどんどんどん、続いていく。
帯によれば、100人以上が登場するそうだ。
途中、人物相関図を作りたくなった。
私は、柳が好き。
これだけの名前を考えるの、大変だったろうなあ。
瑠璃と玻璃の双子、いいね。
何も起こらない。
何も終わらない。
ただ、続いていく。
江國さんの小説って、いつも「え、ここで終わり?」って思う。
でも世界のどこかで、まだ続いているんだろうな、というか。
物語の先がまだどこかにあるんだろうな、と思う。
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