本のタイトル・作者
Seven Stories 星が流れた夜の車窓から [ 恩田 陸 ]
本の目次・あらすじ
さよなら、波瑠(井上荒野)
ムーン・リヴァー(恩田陸)
夢の旅路(三浦しをん)
随筆 帰るところがあるから、旅人になれる。(糸井重里)
随想 旅する日本語(小山薫堂)
アクティビティーは太極拳(川上弘美)
ほら、みて(桜木紫乃)
引用
親たちと別れ、再び自分の名を呼び捨てにしてくれる人が現れたのだった。それが夫だったことにすこし戸惑っている。
「いきなり名前で呼ぶことにしたのは、どうしてなの」
ほら、みて(桜木紫乃)
感想
2021年読書:048冊目
おすすめ度:★★★
豪華寝台列車「
ななつ星」をテーマにした短編集。
なんとなく、表紙の雰囲気にひきずられてか、どれも夜のにおいがする。
しっとりした話が多い。
とりわけ面白いというわけではなかったけど、「ななつ星」に興味を持った。
ななつ星、私は知らなかったのですが、有名なんですよね。
九州に行った時、専用の停車場があって、夫が興奮していた。
列車の旅。
いいなあ、いいなあ。
ひたすら車窓を眺め、本を読んで…。
学生か、リタイアでもしないと「移動」の旅を楽しめない気がする。
時間に余裕がないから。
(「お金に余裕がある時には時間がない、時間に余裕がある時にはお金がない。だからお金を借りてでも学生のうちに旅行に行きなさい」と、私の友人は言っていた。)
この短編集の中では、「アクティビティーは太極拳(川上弘美)」が一番面白かった。
せっかく当たったのに、コロナの影響で中止になってしまったそんなに親しくない母娘の物語。
お母さんがオンラインで開催しよう、と娘にリモート旅行を提案して、ふたりで動画を見たりして、旅程どおりに旅をすすめる。
今だからこその楽しみ方。
旅行に行けない人も、こういう旅をするっていうの、アリなのかもしれないね。
バーチャル旅行。
私の祖母は、年齢的にひとりで外出するのが難しい。
彼女は、関西ローカルのお昼の情報番組「ちちんぷいぷい」を見るのを楽しみにしていて、それは街の今昔特集だとか、そぞろ歩きだとかがあって、「ああ、若い頃のあそこ、今はあんなになってるの」「あそこにあんなお店が出来たの」と仮想現実を楽しめるからなのだって。
だから、「ちちんぷいぷい」が終了したことにひどく落胆していた。
そういう視点で番組を楽しんでいた人がいたんだ、と驚いた。
彼女にとっては、VRだったんだ。
本も同じ、ような気がするんだけどな。
年をとると難しくなるんだよな、読むのが…。
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