本のタイトル・作者
僕たちの幕が上がる (ポプラ文庫ピュアフル 323) [ 辻村 七子 ]
本の目次・あらすじ
子供向け戦隊ヒーロー「海のもりびと☆オーシャンセイバー」の主役・オーシャンブルーとしての出演を最後に、仕事らしい仕事ができなくなった若手俳優・二藤勝。
実家の鮮魚店を手伝いながら、細々と再現ドラマなどに出演していた勝に、ある日青天の霹靂のオファーがやってくる。
新進気鋭の脚本家、英国帰りの鏡谷カイトが手がける新作舞台『百夜之夢』の主役に大抜擢されたのだ。
―――彼は、勝が生徒会長をしていた高校時代、虐めを受けているのを見過ごした蒲田海斗だった。
引用
「その通りだ。お前は解けることのない問いを抱えて悩んでいるんだよ。そういうのは時間の無駄だ。『どうしたらいい?』ではなく、『ホワットキャナイドゥー?』の方にしろ。『何ができるだろう?』で考えるんだ。できる範囲の中にしか、お前に見つかる答えはない」
感想
2022年154冊目
★★★
高校生の演劇モノだと思っていたら違った。
(たぶん「
幕が上がる [ 平田オリザ ]」の影響)
『宝石商リチャード氏の謎鑑定』の辻村さんのポプラ文庫ピュアフルからの初作品。書き下ろし。
落ち目の主人公が、過去を克服していく様子を描いた舞台演劇の物語。
わかりやすい成長ストーリーで、演劇のワクワク感は伝わるものの、どこかで読んだような設定と展開で、よく言えば分かりやすくて読みやすい。
私はもう一捻り欲しかった。
『最後の晩ごはん』の設定に被るところもあって、こっちが好きな人は両方好きな感じじゃないかな。
お芝居に親しんでいないので、「こんな感じで練習しているのか」と興味深く読んだ。
そして読後には、何かお芝居を見に行きたくなった。
前に宝塚歌劇団に誘っていただいて見に行った時、「はー!なんかええもん見たー」という感覚が残って、すごい熱量とかキラキラしたものを満タンにした、という感じがあった。
あれって映画では味わえない感覚。
リアルタイムの、生身の人間がそこにいて、お金と時間をかけて作り上げた一期一会の夢幻を全力でぶつけてくる。
怒涛の、というのがふさわしい。
何かが流れ込んでくる。奔流のようなそれ。
今は、子どもを連れてミュージカルに行きたいな。
最後、カイトが勝ガチ勢で、オタクの勢いで喋り出すのが面白い。笑
クールな仮面の下で、毎日稽古をつけながら(今日も推しが尊い…)とか思っていたんだろうか。
ちなみに私、この2人ならカイト×勝だな。
そこに勝←天王寺司を絡めてほしい。
司さんめっちゃいい人やん…。
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