テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
切れ味鋭い、ジェンキンス唯一のリーダー作 ジョン・ジェンキンス(John Jenkins)という名を聞いて思い浮かべる人物は、人によって様々かもしれない。17世紀イギリスの作曲家もいれば、かつてのホワイトソックス(メジャーリーグ)のプロ野球選手、はたまたオーストラリアの現代詩人も同姓同名だそうだ。ここの表題のジョン・ジェンキンスとは、1931年に生まれ、米国出身のアルト・サックス奏者のことである。 この人が残したアルバムはあまり多くなく、数えるほどしかない。完全にソロ名義で出されたのはこのアルバムだけである(後は連名やサイドマンとしての吹き込み)。その理由は、ようやくブルーノートでリーダー作となる本盤の録音のチャンスがめぐってきたものの、これを吹き込んだ直後には一線を退いてしまったからだ。そして、1990年にようやく復帰を果たしたものの、1993年に亡くなっているという経緯もある。 このアルバムは、なぜか筆者にとっては、切れ味鋭い剣の振りを連想させるものである。ジェンキンスのアルトの音色は、特に柔らかいとは言わないまでも、別に特段、硬質なものに響くというわけではない。また、彼が繰り出すフレーズも歌心に溢れ、滑らかである。しかし、本盤の演奏を聴いていると、鋭い剣を振りかざすかのような迫力に満ちているように感じられる場面が多々ある。 筆者にそう連想させる理由は、おそらく、彼の演奏の"キレ"にあるのだと思う。とりわけ、高音域を使っている時の演奏を聴いていると、滑らかでありながら鋭さが同居しているように感じられるのである。1.「フロム・ディス・モーメント・オン」や、2.「モティーフ」のソロ、あるいは4.「シャロン」のソロなんかを聴いてみると、この感覚がわかってもらえるのではないだろうか。 これにつられるように、ブルージーなギター演奏で知られるケニー・バレルのプレイも随所で鋭さを見せる。4.「シャロン」の冒頭でバレルのギターが入ってくる部分は何度聴いても実にスリリングだし、6.「ブルース・フォー・トゥー」のソロなども、普段のバレルよりも鋭い響きがするように感じられる。あと、注目なのは、ソニー・クラークの参加で、上記のジェンキンスとバレルの演奏にあわせた、音のエッジがしっかりと耳に残るピアノ・ソロをあちらこちらで繰り広げている。 「ハード・バッパーたちの隠れた名作」。その看板に偽りはない1枚だと思う。 [収録曲] 1. From This Moment On 2. Motif 3. Everything I Have Is Yours 4. Sharon 5. Chalumeau 6. Blues For Two John Jenkins (as) Kenny Burrell (g) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Dannie Richmond (ds) 録音: 1957年8月11日 Blue Note 1573 ↓以下リンクはLP盤です(ジャケ写の参考です)↓ John Jenkins & Kenny Burrell / John Jenkins with Kenny Burrell 45RPM HQ180g 2LP MONO お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月23日 22時34分27秒
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