テーマ:洋楽(3291)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
同じ聴くなら日本限定ミニ・アルバムの方を エイス・ワンダー(Eighth Wonder、「世界の七不思議」をもじって「八番目の不思議」の意味)は、イギリスの6人組(後に4人組)グループ。子役時代からのキャリアを既に持っていた女優パッツィ・ケンジットをヴォーカルとして、「ステイ・ウィズ・ミー」(本盤4.)で1985年にデビューするも、本国ではろくにヒットしなかった。結局、1988年にペット・ショップ・ボーイズが提供・プロデュースしたシングル曲「モンマルトルの森(原題:I’m Not Scared)」でようやくトップ10ヒットを記録するも、正式なアルバムは同曲を含むデビュー・アルバム『クロス・マイ・ハート(原題:Fearless)』のリリースだけで活動は休止してしまった。 このようにイギリスでは売れるまで時間がかかったのに対し、日本やイタリアでは早くから人気に火がついた。とりわけ、日本ではシングル曲が次々と当たり、1987年にはデビュー・アルバムにさきがけて日本のみのミニ・アルバムが発売された。そのミニ・アルバムが本盤『ブリリアント・ドリームス(Brilliant Dreams)』というわけである。 現在では、恋多き“バツ3”に、豊胸手術告白にと、話題多き女優のパッツィ・ケンジットだが、エイス・ワンダー結成時には彼女はまだ17歳、本盤の発表時点は19歳のうら若き乙女(?)だったわけで、アイドル的な部分があったのも事実である。それを払拭するためなのか、あるいは本国でシングルが売れなかったことを熟慮してだったのか、ファースト・アルバム制作に彼らは時間をかけた。しかし、筆者としてはこれがよくなかったように思う。その結果として1988年に発売されたアルバム『クロス・マイ・ハート(Fearless)』は、いずれの曲も確かに趣向が凝らされているのはわかるが、まとまりがなく全体的に凝りすぎた印象がある。それに対し、日本限定の本ミニ・アルバム『ブリリアント・ドリームス』は、寄せ集め的ながらも、リリース時点までのエイス・ワンダーのキャラクターが明確で、よくも悪くもパッツィは小悪魔的な魅力を振りまき、グループの勢いもそのままに表現されている。 その例として、1.「浮気なテディ・ボーイ(原題:When The Phone Stops Ringing)」を聴き比べてみるとよい。この曲は『ブリリアント・ドリームス』と『クロス・マイ・ハート』のいずれにも含まれているが、微妙に異なる。前者のヴァージョンは音の隙間もありシンプルなヴォーカルだが、後者ではヴォーカル・エコーをはじめ細かな工夫が加えられている。技術的には後者の方が凝ったものであることは確かだ。けれども、どちらがパッツィのヴォーカルの魅力を引き出しているかと言えば、結局は前者だと思う。 このような具合で、全体として、『ブリリアント・ドリームス』の方がストレート(悪く言えば単純なつくり)なのである。しかし、何度も強調するが、複雑なものがよりよい出来になるとは限らない。その好例がエイス・ワンダーのこれら二枚であり、どれか一枚を選べというなら、筆者は間違いなく『ブリリアント・ドリームス』の方を推薦する。もっとも、「モンマルトルの森」を聴きたいという方には、フル・アルバムにしか収録されていないので、そちらを聴いてもらうしかないのだが…(実は、筆者もそのためだけに両方のアルバムを持っている)。 [収録曲] 1. When The Phone Stops Ringing 2. Loser In Love 3. Open Your Mind 4. Stay With Me 5. Will You Remember? 6. Having It All 1987年リリース(日本のみ発売) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月04日 21時55分12秒
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