テーマ:Jazz(1991)
カテゴリ:ジャズ
ジャズとして至高かどうかはともかく、“ジャズはこうなのだ”的な演奏 ソニー・クリス(Sonny Criss)はこのブログではこれまで結構取り上げてきているが、それは、多分に筆者がソニー・クリスを好むからという理由による。なので、個人的好みが大きく反映された内容であることを差っぴいて、以下を読んでいただければと思う。 ソニー・クリスのピークは3つの時期に分かれるが、本盤はそのうち2番目の時期(60年代後半)に当たる。プレスティッジでは6枚目で、ワン・ホーンのカルテット演奏のリーダー盤としては4枚目の作品である。同じ年の録音としては、『ソニーズ・ドリーム(新クールの誕生)』や『ザ・ビート・ゴーズ・オン!』がある。 正直、本盤は少々“ウケを狙いすぎたかな?”という感が否めない。1.「エリナー・リグビ―」(ビートルズの有名曲)というのが冒頭に来ている点からも、いわゆる“ジャズ・ロック”的な演奏でリスナーのウケを狙ったであろうことは容易に想像がつく。他にも、いかにもな有名曲をとりあげて、一般聴衆のウケを狙っているかのように見える。演奏を実際に聴いてみても、楽器間の緊張感というよりは聴き手にとっての入りやすさ重視で、おそらくはジャズ専門の聴き手にはそっぽを向かれるかもしれない雰囲気が漂っている。 がしかし、である。本盤でのカルテットという構成は成功したと思う。とにかくソニー・クリスのサックスをしっかり聴かせるというコンセプト(これをコンセプトなし、とも言う)のお陰で、全体の演奏よりはアルトの音に否が応でも注目が集まるように作られている。そしてそのサックス演奏はというと、“これがジャズなのです!”と言わんばかりに開き直った演奏。確かにパーカーがこういう時代の、こういう雰囲気の中で、こういう企画盤に登場しるようなことが生前にあったとすれば、きっとこんな感じに吹いただろう。パーカを引き合いに出したが、“パーカー派”と呼ばれるソニー・クリスは、単に真似やコピーという意味ではなく、よきパーカーの継承者という面もちゃんと備えていたのだろう。 そのようなわけで、ジャズに精通した人よりは、ポップスからジャズに入っていくのに向いた盤ということになるのかもしれない。けれども、パーカーの遺産をポップスとの接近という観点にうまく引き寄せて、うまいことこのような盤にしてしまったことに、筆者は狡猾さよりもどちらかと言えば親しみを感じる。ジャズ奏者がポップスやその他の有名曲にすり寄っていくのではなく、(ちょっと無理しながらも)ポップスを取り入れてまで、“ジャズはこういう風にやるものなのです!”と示している、そんな印象を受ける。難しいことを考えず、頭の中を空っぽにして聴いていると、B級ながら思わず表情が緩む、そんな1枚だと思う。 [収録曲] 1. Eleanor Rigby 2. When The Sun Comes Out 3. Sonnymoon For Two 4. Rockin’ In Rhythm 5. Misty Roses 6. The Masquerade Is Over [パーソネル、録音] Sonny Criss (as) Eddie Green (p) Bob Cranshaw (b) Alan Dawson (ds) 1968年7月2日録音。 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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