テーマ:Jazz(1968)
カテゴリ:ジャズ
力強さと緻密さを合わせ持ったキャノンボール・アダレイのクインテット作 以前に紹介した『イン・サンフランシスコ(Cannonball Adderley Quintet in San Francisco)』に続くスタジオ録音盤として吹き込まれたのがこの『ゼム・ダーティ・ブルース(Them Dirty Blues)』。キャノンボール・アダレイが新たに形成したグループ(The Cannonball Adderley Quintet)による『イン・サンフランシスコ』は1959年10月のライヴ録音で、時期的にはこの新たなクインテットの活動開始からわずか1か月ほどの時点のものだった。それに続き、本盤はこのグループでの最初のスタジオ録音作となった作品である。前作が好評を博して成功を収め、ファンにとっても次の作品が期待される場面だった。 本盤を聴いて感じるのは、上記の聴き手の存在(あるいは期待)を、キャノンボール以下、メンバーが十分に意識していたのだろうという点である。例えば、ボビー・ティモンズの作曲による1.「ダット・デア(ザット・ゼア)」(CD化により別テイクも2.として収録されている)は、タイトルからも分かるように、前作に収録の「ディス・ヒア」を明らかに意識した、その続編ともいえるナンバーであり、こんなところからもそのことが窺い知れる。 演奏のレベルと完成度も高い。そのことは全編を通じて言えることだろうけれど、そこに作曲のよさも組み合わされているのは、本盤の特色と言えるかもしれない。オリン・キープニュースのライナーで触れられているように、ベースのサム・ジョーンズの3.「デル・サッセー」は彼の作曲能力の高さを世に知らしめたナンバーである。キャノンボールの実弟のナット・アダレイが書いた6.「ワークソング」もしかり。ちなみに、これについては、本テイクよりも古いテイクがCD追加曲として5.に収められており、完成度を高めようとして取り直していることが窺われる。 好曲・好演奏揃いなので、すべてに触れたいところだが、どうしても外せないのをあと一つ。表題曲の9.「ゼム・ダーティ・ブルース」である。キャノンボール自身の曲で、全体の締まった演奏に作曲者の意図通りのサックス演奏というのがピタリと決まっていて気持ちいい。おそらく、音楽的な緻密さや精度という点では、キャノンボールのアルバムのうち上位に数えられてもよい盤ではないだろうかと思ったりする。 [収録曲] 1. Dat Dere 2. Dat Dere *別テイク 3. Del Sasser 4. Soon 5. Work Song *別テイク 6. Work Song 7. Jeannine 8. Easy Living 9. Them Dirty Blues *印の別テイクは、オリジナルには未収録。 [パーソネル・録音] Cannonball Adderley (as) Nat Adderley (cor) Barry Harris (p, 1.~4.) Bobby Timmons (p, 5.~9.) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds) 1960年2月1日(1.~5.)、3月29日(6.~9.)録音。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ゼム・ダーティ・ブルース(初回生産限定) [ キャノンボール・アダレイ ] 【RCP】[枚数限定][限定盤]ゼム・ダーティ・ブルース/キャノンボール・アダレイ[CD]【返品種別A】 次のブログランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年07月18日 17時18分33秒
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