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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年01月29日
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テーマ:洋楽(3286)
ピーター・ガブリエルの変人・変態的才能(その2)


 ジェネシス時代の『眩惑のブロードウェイ』に引き続き、今回はソロ時代のピーター・ガブリエルの代表的作品からその変人ぶり、もしくは変態度を考えてみたいと思う。既に前項で述べたように、ここで言う“変態”や“変人”というのに攻撃的な意味や軽蔑的なニュアンスは全くなく、抜きん出たアーティスト性に敬意を示しての表現であるので、誤解されないでいただきたい。

 さて、ピーター・ガブリエルのソロ作に優れた作品は何枚もあるが、おそらく世間で高い評価がある程度定着し、とくに名盤と言われることが多いのは、この『ピーター・ガブリエルIII(Peter Gabriel III)』という盤であろう。ちなみに、彼のアルバム名は大概ややこしい。実はソロ第1弾から4枚続けて『ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)』という異なる4枚の作品を発表している。あまりにややこしいので、世間では、1・2・3・4(I・II・III・IVと表記している模様)という“便宜上の名前”で呼んでいる。その後も、​『So』​、『Us』、『Up』といった、これまた紛らわしい“二文字シリーズ”のアルバムをリリースしている。ともあれ、今回は上記のソロ第三作目における、ピーター・ガブリエルの変態度について少々考えてみたい。

 さて、その『ピーター・ガブリエルIII』であるが、これまたジャケットからして風変わりだったりする。ガブリエル自身の上半身写真が載せられた、一見すると特に変哲のないものなのだが、よく見れば顔が半分ない。一つの世界ともう一つ別の世界という、前項で触れたモチーフのようなものがここにも顔を覗かせているというわけである。

 曲の内容もそうで、1.はストーカーのごとき変質者が登場し、他にも精神的に大丈夫なのかと思う内容の曲がある。ピーター・ガブリエルその人は、ジェネシス脱退以前も、ステージで仮装をしたり“自分でない自分”への志向が強かったが、少なくとも歌詞の面ではこの傾向がソロ転向後も強まっているように思える。

 では、ピーター・ガブリエルという人は現実逃避をしているのかというと、全然そうではないところが興味深い。本盤のラストに収録された10.「ビコ」というのは、実在の人物を歌ったものである。アフリカのリズムをいち早く取り入れ、スティーヴ・ビコというアパルトヘイト反対を早い段階で訴えた“黒人意識の父”と形容される人物を取り上げている。

 本盤の制作が1980年ということを考えると、こうしたテーマ選択すら革新的だった。ライオネル・リッチー、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンらが集結して「ウィー・アー・ザ・ワールド」(USA・フォー・アフリカ)をやるのが1985年。このお祭り的チャリティーの逆を突くかのように、リトル・スティーヴンらが「サン・シティ」(アーティスツ・ユナイテッド・アゲンスト・アパルトヘイト=アパルトヘイトに反対するアーティストたち)を企画するのも同年。さらに同「サン・シティ」で非難の的となった南アフリカで行ったグラミー諸受賞アルバム(『グレイスランド』)の制作について、ポール・サイモンが非難されるのは1986年のことだ。ネルソン・マンデラ(今や世界史の教科書で教えられるようにすらなっているようだ)が脚光を浴びる以前の、少し大げさに言えば、南アフリカ史的には“現代以前”の1980年の段階で既に、ピーター・ガブリエルのように才覚ある“変人”は、物事の問題点や核心を早々と見つめ、見抜いていたということだったのだろう。



[収録曲]

1. Intruder
2. No Self Control
3. Start
4. I Don't Remember
5. Family Snapshot
6. And Through the Wire
7. Games Without Frontiers
8. Not One of Us
9. Lead a Normal Life
10. Biko

1980年リリース。




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Last updated  2018年02月02日 06時24分17秒
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