『熱砂と月のマジュヌーン』酷原音瀬
木原・和泉合同誌より、酷原音瀬名義のほうね。これ、どうしよう……。木原さん、本当にどこまで行っちゃうの? 普段商業では設定だけは地味~なお話書いているから、一方で日常視点で使えないネタが噴出しちゃうんだろうか。「Don't worry, mama」のときのように。もう衝動の赴くまま、萌えの高まるままに一気に書いたことが手に取るようにわかるよ。ツッコミどころ満載だし脱字や誤変換そのまんまで笑える。でもそういう、作家の「書きたい」衝動はいとしいぞ。和泉さんの作品の鬼畜な攻めはまだどこか人としての良心を残している印象だったが、こちらは、きっぱりないね。そもそも攻めと言っていいのかどうか……。舞台をアラブにしたのはとんでも設定や「なんでもあり」が通用するからだろう。人種ネタもうまく使えるし。そもそも金髪碧眼のキャラって木原さん、他でも描いているのだろうか? いやあ、最後まで脳内傲慢でお幸せな受けが意外と頑丈(笑)。こいつならそのうち解放されるだろうって思えるよ。人間、何事もポジティブ・シンキングは大事だ。動物ネタも「そうきたか」って……ねえ。大きさはたいしたことないって、よく調べたな木原さん。それにしては臭いとか体毛とか、リアリティはなかった。あの動物、かなり臭いと思うけど、ペットとして飼われるような個体は常にシャンプーされているのかな(笑)。長い柄のついた剛毛ブラシが要りそうだが。それよりあれって偶蹄目? 奇蹄目? とにかくひづめのある動物だよねえ。蹴られたら死んじゃうと思うけどなあ。そっちのキケンはどうでもいいのか? で次は本命登場をにおわせる。これは本当に危険! 体重500kgとかあるよね。昔、フィ○トフ○ックばりに馬の肛門から腕を突っ込んで、子宮触って胎児を確認する獣医さんのお仕事を目の前でみちゃった自分としては、そのシーンはちょっと見たい。あれはすごかった。二の腕まですっぽり入ってた。登場人物たくさん出てきて、挿絵ついていたり漫画だったらいっそう楽しそうだ。木原さんも漫画バージョン想定したのかもしれない。ラブレス、鬼畜だって謙遜するお二人だが(笑)、ラブレス度高い木原さんのこの作品ですら、男性エロの鬼畜ものとは一線を画しているのはわかる。だってとりあえず五体満足だし、周囲の人間たちは少なくともやさしく接しているよね? 本当はみんな受けに復讐したいのに、ご主人様の命令ちゃんと聞いているし。黒人の双子って、絵になるなあ…(萌)。山藍テイストでびびらない自分にはラブレスは納得したけど、鬼畜度はもっとあっていいぞ。で、そのうちご主人様にラブが芽生える……という展開希望。ストーリーは最後で落ちが語られる。「目には目を」って、これはハムラビ法典か。いやイスラームもそうだったはず。そうか宗教倫理に則った正しい行いなんだな(笑)。朝からなに書いてるんだ、自分。さ、仕事行かなくちゃ。結論:非常に数字に細かいご主人様とオレサマな奴隷に萌え!追記:子宮触診を見たのは馬じゃなくて牛だった。