『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』を読んで。。。
著者エマニュエル・トッド氏のWikiのページhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89私はドイツに住んだことが無いが、ドイツ人と交流することもよくあり、なんとなく国民性のイメージはある。皆まじめでおおらかで好感が持てるのだが、もっと奥深いところで何かが噛み合わない感覚がいつもあった。ドイツ系のスイス人には抱かない感覚だ(スイスのドイツ語はドイツ南部に住む人しか分からないので、スイス人は標準ドイツ語を学校で学ぶ)。ドイツ系スイス人は私の感覚ではアメリカ人やフランス人に近い。この本で特に面白いと思ったのは、フランスのエリート層がドイツ人を理解していないということ。フランスは、もともと普遍的な平等主義の国であるから、他国も同様だとどこかでみなしているようで、ドイツの特殊性ということは国内でほとんど問題にされない。そういうことを指摘すると、差別だといわれかねない雰囲気があるせいかも知れない。普遍主義ゆえにフランス人が異なる社会を分析する能力に欠けるという指摘なのだが、日本もその独自の普遍主義により、同じ轍を踏んでいる可能性が強い。特に、支那や朝鮮に対しては、今まで全く知識が無かったし、得ようともしなかった。そして著者は、ドイツと中国が互いに輸出大国であるということで、現在再び再接近していると指摘している。日本は眼中に無いらしい。ヒトラーのナチスドイツが日本と対峙する蒋介石に援助をしていたというのは、ネット情報で知ってはいたが、著者もこれを指摘し、歴史は繰り返すとしている。著書は、人類学者で人口学者でもある。統計を通じて家族形態を分析することによって、政治的経済的な傾向を読み解く。言語というつかみどころの無いものでなく、具体的な数値に基づく分析であるため、非常に説得力がある。この点は、私も今後参考にしたいと思うが、逆にいうと言語というファクターを全く除外しているということも言える。難しいところだ。