カテゴリ:人間関係、不即不離
アスペルガー症候群と診断される子供たちがいる。
この子供たちは、身の回りのことをするのを覚えるのに時間がかかる。 いつまでもぐずぐずして取り掛かることができない。 ちょっとの間もじっとしておられず、絶えず落ち着きがなく動き回り、手当たり次第に物を掴み取っては、引き裂いたり、壊したりする。 他の子供に関心を持ったり、遊びに加わったりすることがない それどころか、周囲の子供をイラつかせる。 自己中心的で、一方的に自分の主張を繰り返し、それが受け入れられないと暴力を振ったりする。 相手を喜ばせようとか気に入られようとかは思わず、周囲から親しいふれあいを求められても、拒否してしまうこともある。 こだわりや情緒不安定、常同行動から、奇声、逃避、自傷、パニックや暴発に至ることもある。 こういう子供がクラスの中に1人でもいると先生は対応に苦慮する。 親はつい「やらないといけないのに、どうしてできないの」と叱責してしまう。 アスペルガー症候群の子どもたちに、親や先生が普通の子供のようになってもらいたいと考えて、接触を図るとうまく行かないようです。 それよりも、その子供たちの現実を受け入れて、その子供たちの特徴を生かした教育やしつけをした場合、思わぬ能力を発揮するようなことになる。 アスペルガー症候群を抱えていた人は、普通の人には無い特殊な能力を持っている場合がある。 有名な人では、アインシュタイン、ビルゲイツ、エジソン、ジョージ・ルーカス、ヒッチコックなどがいる。 エジソンは小学校に入学するが、学校での評価は散々なものだった。 校長先生は、エジソンが「注意散漫で、空想にふけってあり、奇異な行動ばかりしている」ことを問題視していた。 ついでに業を煮やし、クラスメートの前で平手打ちを食らわせて罵倒した。 すっかり打ちのめされた。エジソンは泣きながら家に帰り、その後学校に行かなくなった。 話を聞いた母親は、息子を連れて校長先生に会いに行くと、 「自分の方がこの子のことわかっているので、自分で教えます」と言い切って退学させた。 家庭で行った教育は、 「形式的な教授法でエジソンをしばるのではなく、何でもやりたいようにやらせて、子供の想像力が存分に発揮させるようにやらせた」という。 母親は時間を決めて、読み書きや算数のレッスンをしたが、それ以外は本人の興味をうまく刺激しながら、本人の自主性を引き出していった。 エジソンは読書が好きで、母親が買い与えた「自然・実験哲学概論」という本は、エジソンを虜にした。 挿絵が満載のこの本には、電池の作り方や簡単な実験の仕方が絵入りで紹介してあった。 エジソンは、台所から実験材料をこっそり持ち出して、実験にふけるようになった。 すると、母親は地下室を実験室としてエジソンに提供した。 エジソンはそこで自ら学んでいたのである。 これを見るとアスペルガー症候群を抱えた子供の教育は、親や先生の「かくあるべし」を押し付けるような教育ではうまくいかない。 アスペルガー症候群を抱えた子供たちの特徴をよく観察し、そして何よりもその子供たちの置かれた状況を受け入れていくという基本姿勢は欠かせない。 そしてその子供たちの中に眠っている隠れた能力を見つけ出して、伸ばしていくという教育に切り替えなければならない。 その子供たちの問題行動にばかり目を向けて、子供を叱り付けたり排除するやり方では、その子自体も苦しいし、親や先生にもストレスが溜まるばかりである。 森田理論では「かくあるべし」を少なくして、事実本位に生きていくことを学んでいくが、アスペルガー症候群を抱えた子供たちに応用できる考え方である。 (アスペルガー症候群 岡田尊司 幻冬舎新書参照) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.04.26 06:30:07
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