カテゴリ:森田番外編
今日は「逆転人生」という番組の中から投稿してみたい。
香川県さぬき市で介護シューズを製造・販売している十河孝男さんという社長さんの話である。 元々は大企業の下請けとして、ルームシューズ、トラベルポーチ、旅行用スリッパなどを作っていた。 バブル景気崩壊後は、大企業から受注減、コスト削減を突き付けられて、瀕死の会社だった。 介護シューズを製造するきっかけは、介護施設を運営している人から、入居者の転倒防止用の靴を作ってもらいたいと依頼を受けたことだった。 介護施設では高齢者が転倒して、ケガ、骨折、寝たきりになるケースが絶えなかったのである。 その数全国で毎年8000人に上っていたという。 十河さんは介護シューズに会社の将来をかけることにした。 まず、十河さんは、介護施設に出向いて入居者の歩き方を注意深く観察した。 すると入居者は筋力が落ちていて、つま先から着地していることが分かった。 普通の人がかかとから着地しているのとはえらい違いだった。 それで廊下に引っかかったり、ちょっとした段差につまずいて転倒していたのだ。 そこでつま先をそり上げて地面に引っかからないシューズを作り上げた。 試着してもらうと、つまづきにくく履きやすいととても評判がよかった。 勢いづいて、1995年5月介護シューズのカタログをつくり、全国1500の施設に送付した。 ところが一向に注文が来ない。よい商品なのになぜか。 カタログを送付した施設に片っ端から電話してみた。 するとカタログはそのまま捨てられていたことが判明した。 中小企業の商品など見向きもされていなかったのである。 そこで十河さんのとった戦略は、5足の介護シューズを直接介護施設に送付した。 不要なら着払いで送り返してもらう。 気にいったら定価の半額でそのまま買い上げてもらうというものだった。 これが効を奏した。見本を送付していない施設からも、注文が舞い込むようになった。 そして使用した人から感謝の手紙も数多く寄せられるようになった。 これが励みになったという。手紙は朝礼で社員に披露した。 そのうち、左足がむくんで、左右同じ靴が履けないという相談が寄せられた。 それに類する悩みを抱えた人が、利用者の一割程度存在していることが分かった。 十河さんは、その人たちの悩みに応えるべく、左右の靴巾、ベルト、靴底の高さが違うシューズを作ることを思いついた。個別対応のシューズを作ることになったのだ。 これはパーツオーダーシステムと言うそうだ。 左右違うサイズの靴は、手間がかかり、無駄が多く、対応している会社は十河さんの会社だけだ。 当初社員15名程度だった会社は、今や約70名の会社に成長した。 私はこのテレビ番組を見ていたく感動した。 それは森田理論を実際に活用するということの見本を見た思いをしたからだ。 入居者の実態を実際によく観察してヒントを掴まれたこと。 困難に出合ったときも、視点をかえて、実際に行動に移されたこと。 そして、一人一人のニーズに対応したシューズを作るシステムを作り上げられたこと。 観察、気づき、発見、工夫、実行、反省、改善が継続できている。 まさに森田的である。 私たちも実際の生活の面で、この人の生き方を活用していきたいものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.01.14 06:39:46
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