カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
森田理論には大切な考えがいくつかありますが、私たちの精神活動は、絶えず流動変化していて、一時も、静止して固定しているものではないというのがあります。
これは精神活動にとどまりません。宇宙を観察してみると一目瞭然です。 地球は高速で1年かけて太陽の周りを一周しています。 太陽系は天の川銀河の4分の3に位置しており、2億年かけて一周しているということです。 天の川銀河の近くにはアンドロメダ銀河があり、お互いの引力で接近しているそうです。 そして最終的には2つの銀河は合体する運命にあるといわれています。 引力と遠心力という真反対の運動エネルギーがバランスを維持して、高速で運動し続けるという条件の中で初めて存在が許されているということだと思います。 分かりやすく言えば、コマの回転や自転車の走行に似ています。 運動エネルギーが働いている時が、一番安定しているということになります。 頭で考えると、静止し固定している状態が最も安定しやすいと考えがちですが、事実は全く逆になっているということです。不安定どころか、生存さえも危うくなるということです。 私たち人間の生き方としては、この運動観を理解して生活に応用していくことが大切になります。基本的には、周囲の流動変化を見極めて、その変化に自分を合わせていくということです。 周囲の変化を無視して、単独行動をする。どんな状況でも我が信じる道を突き進むということでは生存することさえ危ういものとなります。 この運動観は相対性理論のもとに成り立っているということを忘れてはなりません。 自分の運動エネルギーが他の運動エネルギーといかに折り合いをつけて調和できるかどうかという一点にかかっているのです。 心構えとしては、第一に周囲の変化を正確につかむことがかかせません。 第二には、双方が生き残るためには交渉を重ねて妥協点を見つけることです。 不満足かもしれませんが、折り合いをつけて双方が生き延びる道を探る事が肝心です。 運動観という視点から神経症を見てみると、感情の動きを停止させて固定化する方向にエネルギーを投入しているのです。そして蟻地獄に陥っているのです。 不安や恐怖などに対して、運動観の立場に立つと、それらは静止させて固定化させるというやり方は間違いということになります。 これらは時の経過とともにその中身がどんどん流動変化していくというものなのです。 時の変化に身をゆだねて、不安なときは不安のまま、苦しいときは苦しいままでいくしかないのです。 時間の経過とともに、それらは問題にならないほど小さくなって消え去るというのがこの運動観の意味なのです。 どうして静止させて固定化する道を選ぶのか。 それは無駄なエネルギーは極力使いたくない。 変化を選択してもしうまく事が運ばない場合はどうするのか。 苦労はしたくない。楽をしたい。現状のままで何か問題でもあるの。 なんとかなっているのだから、今いるところでじっとしていたい。 こういう考え方が態度に現れているのだと思います。 それは一理あるように思われますが、大自然の流れではないのです。 むしろ自然の流れに反旗を翻している態度です。 川下に向かって泳いでいくと、自然を味方につけてスムーズに泳ぐことができます。 自然の流れに反抗して、川上に向かって泳いでいる人は精魂尽き果ててしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.04.08 23:39:00
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