カテゴリ:感情の法則
通勤途上で苦手な上司、同僚、異性を見つけた。
電車の4人掛け椅子で見知らぬ人と同席する羽目になった。 花見や会食の場でよく知っている人を見つけた。 エレベータに乗ると苦手な人が乗っていた。 朝のゴミ出しに行くと、不愛想な人と出くわした。 こういう時、居てもたってもいられない、居心地の悪い感情が湧き上がってきます。 このような状況に陥ったときどうするか。 見て見ぬふりをして離れる。下車するふりをして、車両を移る。無視する。 これで万事うまくいくのでしょうか。確かに一時的にはうまくいくでしょう。 しかし次にまたこのような感情が湧きおこった時、同じような対応をします。 イタチごっこになります。 つまりこうした感情に対して、いつもやりくりをして逃れようとしているということになります。感情の事実をやりくりして楽になろうとすると、心身ともに疲れるだけです。 また相手に負けたように感じて、自己嫌悪に陥ることもあります。 こういうことが度重なると、なんとか対策を考えないといけないと思うようになります。 つまり居心地の悪い感情に対して、その感情を避けるような工夫を考えようとするのです。 こうした悩み相談が寄せられることがあります。 この問題を森田理論で考えてみましょう。 感情の法則では、感情は自然現象であるといわれています。 天気や自然災害などと同じ自然現象だというのです。 もともと人間の意志の自由が効かないものだというのです。 このような居心地の悪い感情に対しては、仕方なくその感情を抱えたままにしておくしか他に方法はありません。イヤだなと思いながら会社に行く。 いやだなと思いながら、本を読む。スマホを見る。寝たふりをする。 軽いあいさつ程度をして、目の前の目的を果たしていく。 この対応方法は、森田理論学習の中でしっかりと学んだはずです。 ところが実際には応用・活用できていないということが問題です。 居心地の悪い感情は、少し耐える、我慢することが鉄則です。 時間が経ち、場面が変わればその感情は速やかに変化していきます。 これも森田理論で学習しました。それを信じて従えば何ら問題は起こりません。 少しの時間も耐えることができない。 我慢できないという人は、幼児が駄々をこねているように見えます。 今すぐに欲望が満たされないと、精神錯乱状態になって泣きじゃくる幼児と本質は変わりません。これも森田理論は理解できたが、応用・活用できていない場合があります。 居心地の悪い感情に振り回されている人は、本来のなすべき目的のすり替えが起きています。 つまり仕事をするために会社に行く。必要な場所に行くために電車に乗っている。 食事や懇親会を楽しむ、ごみを出すという目的を見失っている状態にあります。 こうした本来の目的の達成はどうなってもよい。 それよりも居心地の悪い感情を消し去りたいという課題に注意と意識が向いている。 森田理論ではこのことを手段の自己目的化と言います。 本来の目指すべき目標をすっかり忘れて、別の目標を追い求めているのです。 「二頭を追うもの一頭も得ず」という言葉があります。 安易な目的のすり替えはあってはならないものです。 ころころと目的や目標を変更していると、右往左往するばかりになります。 迷路に入ってします。神経症を引き起こしてしまうということです。 野球でもボールを投げる時には、最後までキャッチャーミットから目を離さないことが鉄則です。 森田理論の感情の法則、生の欲望の発揮の注意点は実生活に存分に応用・活用することが大切になります。学習して分かったつもりで満足していては、実生活に活用できません。 これは基本的には自分一人で身に着けることは難しいと思います。 集談会に参加して、他人の援助を受けながら、軌道修正しながら、徐々に身に着けていくものです。何回も失敗しながら、そのたびに態勢を整えて、時間をかけて身に着けていくというものになります。習慣というのはコールタールが体にまとわりついているようなもので、自分一人の力で簡単に取り除くことは難しいのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.04.19 07:51:22
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