カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
山鳥重氏のお話です。
生命体の時間はリズムを持っています。 呼吸や血液循環や排泄など、からだの諸活動はすべてそれぞれのリズムに乗って活動しています。 たとえば脳波です。閉眼安静時にアルファ波があります。 この波は毎秒8から13ヘルツのリズムを持っています。 熟睡しているときはシーターが現れます。 4から8ヘルツのリズムを刻んでいます。 睡眠時は浅い眠りと深い眠りをくり返しています。 レム睡眠とノンレム睡眠です。 夢をみる浅いレム睡眠は一晩に4から5回やってきます。 覚醒時の意識の揺れは、注意が意識をしっかり制御できている高い水準の意識状態と、なんとなく注意力が落ちて意識が散漫になりがちな低い水準の意識状態が交代しています。 我々は注意を奮い立たせて意識水準を維持するわけですが、そうそう長続きさせることはできず、意識は緊張と弛緩をくり返しています。 なぜ揺れるのでしょうか。それはいのちが「過程」だからです。 神経過程も、それに共存する心理過程も、あくまで「過程」です。 過程とは進行中ということです。進行中ということは不安定だということです。つまり「揺れる」ということです。 こころは不安定な揺れ、という過酷な状況の中で、その揺れに合わせて、「今・ここ」という現場(意識)に、感情や心像や思いを立ち上がらせては退場させ、立ち上がらせては退場させ、という営みをくり返しています。 「今・ここ」に、コア感情ー感情ー心像ー思い、という過程を立ち上げ続けているのです。このほかに心の生きざまはありません。 (「気づく」とはどういうことか 山鳥重 ちくま新書 217ページ) 少し難しい説明ですが、森田理論に関係のある話だと思います。 人間が生きるということは、先が見通せない中を試行錯誤しながら絶えず前進しているということだと思います。 前進していると言いましても、一直線に前進しているわけではありません。 紆余曲折しながら前進しているのです。 順風満帆の時もあれば、怒涛坂巻く嵐の時もあります。 波の上に出たり、どん底に突き落とされたりの連続です。 そういう状況の中でどのような心構えで生きていけばよいのでしょう。 緊張と弛緩の波が大きくうねっているのでしたら、その波に上手に乗って生活していくというのはどうでしょうか。 一時も一つのところに留まることなく、変化から目を離さないで、変化についていく生き方です。 この点について、岩田真理さんがサーフィンの話で分かりやすく説明されています。人生はサーフィンのようなものです。 サーファーは「波」という、動いているものに乗っているのです。 常に波の様子を読まなくてはなりません。 波はその日の天候によって変化し、動き、下手をするとサーファーを飲み込みます。サーファーにとっては一瞬一瞬が緊張です。 波を読み、波の上でバランスを取り、波に乗れれば、素晴らしいスピード感が体験できます。 自分だけの力ではなく、勢いよく打ち寄せる波の力を自分のものにして、岸まで疾走することができるのです。 (流れと動きの森田療法 岩田真理 白揚社 64ページ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.07.05 06:22:50
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