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森田理論学習のすすめ

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2022.08.18
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目的本位という言葉は以前盛んに使われていました。
改訂版の「森田理論学習の要点」が出たときに、一旦は消えていました。
その説明はありましたが、今思い出してもよく思い出せません。
今考えると、目的本位という言葉が誤解を生みやすい言葉だったからだと思います。使い方によってはとても意義のある言葉なのですが紛らわしいところです。

現在の要点の中で、『目的本位とは、物事に即して、目的達成のために行動していく態度で「あるがまま」のカギとなります』と説明されています。
現在自分の置かれている状況の中で、本当にしなくてはならないことをみていく努力をすることが大切だと指摘されています。
これのどこが問題なのでしょうか。私は問題ないと思います。
これがまさしく本来の目的本位の意味だと思います。

ちなみに目的という言葉によく似た言葉に、目標という言葉もあります。
目標というのは小さな目標という使い方をされることがあります。
小さな目標を達成して行きついた先に、最終的に目指すべき目的があります。
最終的な目標=目的と理解しておくと分かりやすいと思います。

それでは早速、目的本位の問題点について見てゆきましょう。
現代は物が売れない社会です。デフレ時代といわれて久しい。
限られた市場を巡って同業他社同士で生存競争が繰り返されています。
ナンバーワン企業になれない場合は淘汰されるという過酷な競争社会です。
高度経済成長期に営業をしていた人からは、隔世の感があります。
営業職の人にとっては、達成不可能に見える厳しいノルマを与えられて、GPSで仕事ぶりを監視されている時代です。
ノルマが達成されないと、営業会議で情け容赦のない非難にさらされます。
個人の能力ややる気の問題として取り扱われてしまうのです。
成績の上がらない営業マンは、能力や人間性を疑われて、移動、左遷、転籍、退職に追い込まれます。
こんな状況では、なんとかノルマを達成して、会社に貢献しなければ、明日の自分はないと自分で自分を追い込むようになります。
結婚して温かい家族を持つのは、夢のまた夢なのではないでしょうか。
自己擁護できない人は、上司や同僚と一緒になって、自分で自分をいじめます。
これは森田でいうと、自分に「かくあるべし」を押し付けている態度です。
そういう上から下目線で自分を否定するような、目的を追い求めることにどんな意味があるのでしょうか。

理想の立場に自分の身を置いて、現実の自分を上から下目線で見下ろすと、恐ろしくなって意欲も何も根こそぎ奪い取られてしまうことになるのです。

私は大学生のとき神奈川県の丹沢で沢登りに夢中になったことがありました。
20mから30mくらいの崖を登っていくスポーツです。
その時しつこく言われたのは、登っているときは、目の前か目先の手をかけるポイントだけを見るようにいわれました。
足2点と手1点、いわゆる3点確保に全神経を集中するだけです。
ちょっとでも下を見ると体が死の恐怖で金縛りになってしまうのです。
10メートくらいでも恐怖を感じます。
身体の防御態勢は頭で考えている以上のことが起きます。
頭で叱咤激励しても、体がついてこないのです。
固まってしまうとそこでゲームアウトになります。
結ばれたロープで地上に降ろしてもらうしかありません。
アイガー北壁に挑戦する人では、最終目標に向かって、目の前のくさびを打ち込む場所を見極めているだけだと聞いたことがあります。
不用意に下の方を見るとそれが命取りになります。

目的本位の意味するところはこれと同じだと思います。
下から上を見ている分には何も問題はありません。
むしろ、目的に向かって努力精進することは人間本来の生き方につながります。
しかし逆に上から下を見ると大変なことが起きるのです。
理想から程遠い情けない自分が歯がゆくて仕方ない存在にみえてくるのです。
すると自己否定、自己嫌悪の苦悩でのたうち回るようになるのです。

これが何を意味するかというと、目的本位という言葉は2面性があるということなのです。別の言葉で言えば、プラス面とマイナス面が含まれているのです。
上から下目線で目的本位という言葉を使うと、葛藤や苦悩で大変な人生になります。
ですから、観念中心の「かくあるべし」を自分や他人や自然に押し付けることは抑制していく必要があります。
逆に事実、現実を出発点として、小さな目標をクリアーしながら、最終的な目標(目的)を目指していくという人生は素晴らしい生き方となります。
同じ言葉に対して、私たちがどう取り組むかが問われているのだと思います。
ちなみに、この部分は森田理論の核心部分にあたります。
その点を森田理論学習でぜひ自分のものにしていただきたいと思います。





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Last updated  2022.08.18 06:42:15
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