カテゴリ:森田療法と他の療法について
アルコール依存症、ギャンブル依存症、ネットゲーム依存症、買い物依存症などで苦しんでいる人は、ドーパミン主導の報酬系神経回路が暴走している状態です。
暴走すると生活や人間関係が破壊されることは頭では分かっています。 しかし一度味わった快感、解放感、陶酔感、高揚感、安堵感が常時よみがえって来て、どんどん深みにはまってしまいます。 依存症に陥ると、自分の意志の力だけでは抑制ができません。 森田の学習をしている人の中にも、軽度の依存症の予備軍のような人がいらっしゃいます。それに加えてノルアドレナリン主導の防衛系神経回路が暴走して、不安や恐怖と格闘しているわけですから2重の苦しみを抱えていることになります。 いずれの場合も重症化してくると専門医や自助組織への参加が必要になります。 この2つの神経系はどちらも大切なものですが、度が過ぎると、逆に自分を苦しめるものに変化してきます。 田辺等氏は、依存症の心理的背景として、フラストレーション(欲求不満)の問題、セルフエスティーム(自尊感情)の問題、アイデンティティ(自己同一性)の問題、空虚や軽い抑うつ感などの気分の問題として次の5つをあげています。 1、日常生活での充足感、充実感に欠けている。 2、自分への肯定感が持てない、他者と比較してダメだという感覚がある。 3、仕事(学業)に取り組んでいる自分が本当の自分ではない気がする。 4、何を目標として生きるべきかを見失っている。 5、空虚、空白、憂うつな気分が続く。 (ギャンブル依存 西川京子 解放出版社 30ページ) これらに対して森田理論では次のように提案しています。 ・規則正しい生活を続ける。 ・日常茶飯事に丁寧に取り組む。凡事徹底です。 ・物そのものになって取り組む。一心不乱になるということです。 ・短期、中期、長期の課題や目標を明確にする。 ・観念優先の態度を事実優先の態度に切り替える。 ・葛藤や苦悩を抱えている自分に常に寄り添う。 ・現状維持は後退を意味すると心得て、勇気をもって挑戦していく。 ドーパミン主導の報酬系神経回路、ノルアドレナリン主導の防衛系神経回路は制御しないとどこまでも暴走する特徴を持っています。 それを制御し抑制しているのはセロトニン系神経回路だと説明されています。 セロトニンは常時出続けていますが、意識して鍛えていかないとすぐに枯渇してしまうという特徴を持っています。 私たちは、森田的な生活を続けて、絶えずセロトニン神経系を鍛えることを心がけ、依存症で生活が破壊されることのないように注意したいものです。 セロトニン神経系の鍛え方は、2月13日、14日の投稿をご参照ください。 いずれも簡単なことで身につけることができます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.08.26 23:10:43
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