カテゴリ:森田理論の基本的な考え方
2023年11月号の生活の発見誌より高良武久先生のお話です。
不安や恐怖というものがあってはならないというのは、思想の矛盾であります。 あるのがあたりまえであって、ないというのはそれを否定することであり矛盾でありまして、そういう矛盾は生活にプラスに作用しないで、葛藤を起こすことになるわけでございます。 この不安や恐怖を受け入れて、そうしてそれに刺激されて前に進んでいく。 これを私は「あるがままで進む」というふうに言っております。 ただ、「あるがまま」といいますと、誤解する人がよくありまして、自分は不潔恐怖で手を洗いたいからあるがままに洗うんだ。 あるいは対人恐怖で人に会うのがいやだから、なるたけ会わないように逃げていくのがあるがままである。 または、病気恐怖がこわいから、病気にかかっているかいつも調べたくなって、何度でも医者通いをする。 これが「あるがまま」であるというふうに誤解する人があります。 振り返ってみると私はなかなか「あるがまま」にはなれなかった。 理論としては、不安や恐怖に振り回されないで、目の前の必要なことやなすべきことに手を出していくことは耳にタコができるほど分かっていたつもりでした。 現実は不安、恐怖、違和感、不快感を目の敵にしていた。 取り除こうとしている。どうすることもできないときは逃げまくっていた。 目の前の必要なこと、なすべきことは放棄して、刺激的な楽しみを追い掛け回していました。 これは取り組み方が分からなかったからだと思っています。 最近「あるがまま」の体得はきちんとしたステップを踏めばそんなに難しくはないと感じています。 「あるがまま」というのは「あるがまま」になろうと思っているだけでは、「あるがまま」にはなれません。 「あるがまま」というのは、後で振り返ってみたら、意識しないうちに自然に「あるがまま」になっていたということだと思います。 「あるがまま」には2つの側面があります。 一つ目は不安をそのまま受け入れるという側面です。 これから取り組むのはかなり難しい。 二つ目はなすべきをなすという側面です。 行動には意志の自由が効きますのでやろうと思えばできます。 神経質者の場合自己内省的に考えることは得意ですが、フットワークよく行動することは苦手です。 なんとかしてその壁を打ち破ることが肝心です。 そのために有効な手段は、月並みですが規則正しい生活を続けることだと思います。 毎日のルーティーンワークを確立することです。 毎日同じ時間に同じ行動を心がけることです。 3ヶ月も続けていると習慣化します。 習慣化すると、そのパターンが崩れると居心地が悪くなります。 次に規則正しい生活の中から、問題点、課題、改善点、改良点、小さな楽しみ、小さな感動を発掘するようにする。 見つかったらそれを宝物として扱う。 そうすれば気づき、発見、工夫、アイデアが次々に浮かんでくるようになります。 感情が動き出して、行動意欲が高まり、行動に弾みがついてきます。 これらが軌道に乗ってくると、不安に振り回されている状態から脱皮できます。 客観的に見ると、不安を受け入れて、「あるがまま」の生活が身についてきたということになります。 毎日の生活に張りが出てきます。関心のある方はぜひ取り組んでみて下さい。 ![]() 広島県呉市は戦艦大和の故郷です。 現在は巨大タンカーのメンテナンスをしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.05.31 10:04:21
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