カテゴリ:行動のポイント
登山家の野口健さんのお話です。
ヒマラヤは感覚の世界だ。 登山中にいちいち理屈で物事を考えていたら遭難してしまう。 1ヵ月間もヒマラヤにいると、雪崩や落石、氷河などの崩壊の危険に絶えずさらされているためか、音に敏感になる。 また湿度や温度など、微妙な変化まで全身の毛穴や肺胞で感じとれる。 厳しい環境の中で生き延びるために五感が研ぎ澄まされていく。 ヒマラヤにいる時の自分の表情を写真で見て、その眼光の鋭さに驚いたことがある。人はなぜ、あえて危険な冒険に魅せられるのか。 時に五感をフルに働かせ、生き延びることだけに必死になりたいのかもしれない。 人間も動物だって同じことだ。 (自然と国家と人間と 野口健 日経プレミアシリーズ 16ページ) 野口健氏は、精神が緊張状態から弛緩状態になると、五感の機能はしだいに衰えてくると言われています。 その日食いつなぐことに必死に生きている開発途上国の人たちを見ていると、第一目つきが違う。眼光鋭く、うつろで憔悴した目つきをした人はいない。 身の危険を感じることがない。食べることに困らない。安心・安全で不安やストレスのない世界に身を置いていると誰でも五感は鈍化してきます。 感性や感受性が廃用性萎縮現象を起こしてしまうのである。 有り余る時間を、刹那的で刺激的な快楽で穴埋めしようとしている現代人は、緊張感がなくなり、五感は正常に機能しなくなっているのだろう。 精神を弛緩状態から緊張状態に切り替えることは可能であると言われています。 それは置かれた境遇や環境を変えてみることです。 また行動を変えることによっても可能となります。 そうかといって、我々はヒマラヤで登山をするわけにはいかない。 開発途上国で暮らすことなど考えられない。ではどうするのか。 それは森田理論が教えてくれている。 それは、今この瞬間に集中して、ものそのものになって生活することである。 日常生活に丁寧に取り組むことだ。凡事徹底を心がけることです。 まずは食べること。食材を自分で作る。買いだしをする。下ごしらえをする。料理をする。味わう。後片付けをする。加工食品に挑戦してみる。 あとは洗濯、清掃、整理整頓などである。 そんな生活の中から、興味や関心、工夫や発見が見つかり、ささやかな幸せを感じる。生活のルーティンワークを確立してていねいに取り組むようになれば、緊張感が生まれて、様々なことに気づき工夫ができるようになります。 すると精悍な顔つきに変わり、眼光も鋭くなります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.08 06:30:24
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