カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
「いい加減」という言葉があります。
「いい加減な人」とは、思慮が浅く、信念がない。一貫性がない人のことをいいます。あるいは時間やお金にルーズで、約束を守らない人のことを意味します。 何事に対しても、中途半端で、すぐに他人の意見に流される人もそうです。 「いい加減なことを言うな」という発言は、事実に基づかないで、先入観、決めつけ、思い込み、早合点の発言は慎みましょうということです。 これらは、「いい加減」という言葉がすべて否定的な意味合いで使われています。 「いい加減な言動をとる」や「いい加減な人」という場合は、次のような特徴があります。 まず事実を自分の目できちんと確かめたうえでの発言ではないということです。 つぎに、この傾向のある人は、深い洞察力のあるものの見方・考え方をしていない。これらは単なる思いつきや他人の受け売りで「いいかげんな発言」になっています。 しかしこの「いい加減」という言葉は全く違う使い方をされる場合があるのです。 お母さんが兄弟げんかをしている子供に対して、「あんたたち、いい加減にしなさいよ」と叱ることがあります。 兄弟げんかが激しさを増して、罵りあい、手足をだすようになった時に、程よいところでやめておきなさいよと注意喚起を促す言葉になっています。 また、「お風呂のお湯加減はどうですか」という場合は、熱くもなく、冷たくもなく、ちょうどよいお湯加減になっていますかという意味です。 この場合は、「ほどよい加減に調整する」という肯定的な意味合いで使われています。この言葉は森田理論の調和、バランスという考え方に近いものがあります。 神経症に陥ると生の欲望の発揮が蚊帳の外になり不安と格闘を始めます。 森田では欲望と不安はコインの裏と表の関係にあるといいます。 欲望と不安は表裏一体です。 森田では生の欲望を前面に押し出しながらも、不安を活用して調整する必要があるといいます。バランスや調和を意識する必要があるのです。 神経症に陥った場合は、不安はとりあえず横において、欲望の方に焦点を当ててバランスを回復させる必要があります。 このことを別の言葉でいうと、偏りを修正して、「ほどよい加減に調整する」ということになります。神経症に苦しんでいる時は、不安過多に偏っています。 不安と欲望を調整して、いい加減に戻してバランスの回復を図ることがとても大事になるのです。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.17 06:36:25
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