顔を見合わせて、うちで夕食とってると、
まるで新婚みたいだよな。
かぐや姫が来てくれてから、
僕は急いで帰ってくるようになった。
それなのに、そんな店で働くなんて。
「やっぱり、仕事やめたら。」
箸をとめて、真剣に話す。
「やめないわよ。」
食べながら、淡々と言う。
「じゃあ、今日僕が同伴で行って、
確かめてやるよ。どんな店だか。」
反対してもムキになるから、
譲歩して言ったのに、
「いいけど、やめたほうがいいと言っても、
言うことは聞かないわよ。
私自身のことなんだから。」
毅然とした態度で、つけ入る隙がない。
まったく生意気だよな。
「分かったよ。
でもとにかく行くからな。」
「どうぞ、ご勝手に。」
なんかどんどん可愛げなくなってくなあ。
どうしたっていうんだ。
「勝手にするよ。」
こっちもつんけんしてしまう。
こんなはずじゃなかったのに。
やっぱりその仕事がいけないんだ。
しばらく沈黙で食事を済ます。
彼女は黄色のワンピースに着替え、
出かける用意をしている。
「そのワンピースは着ていって欲しくないな。」
「なぜ?これが一番似合うのに。」
「だからこそ、他の男に見せたくない。」
「焼餅やいてるの?大丈夫よ。
あなたは特別だから。」
「どう特別なんだい?」
「あなたのために地球に来たのよ。」
「だったらなんで、そんな店で働こうとするんだ。」
「仕方ないのよ。あなたには分からない。」
急にしおらしくなる。
「お金だったら、なんとかなるんだから。」
「そういうことじゃないの。」
考え込むようにうなだれるから、
それ以上聞けなくなってしまった。
「とにかく早く行きましょう。
開店時間に間に合わなくなるわ。」
腕をとられて、席を立つ。