行き帰りの電車内で「猫鳴り」(沼田まほかる)を読みました。
「内容:流産した哀しみの中にいる夫婦が捨て猫を飼い始める。モンと名付けられた猫は、夫婦や思春期の闇にあがく少年の心に、不思議な存在感で寄り添ってゆく。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた。濃密な文章力で、生きるものすべての心の内奥を描き出した傑作。」
1部。流産した女性が庭に捨てられていた仔猫を何度も畑や森に捨てに行くが、仔猫は家に戻ってきてしまう。
仔猫と流産した子ども重ねてしまうが故に拒否していたのだが、夫に言われてやはり飼うことにする。
イヤミスと言われるだけあって、これでもかと醜い感情をあらわにするけど、
それほど違和感がないのは、自分にもあるからかな。
2部の少年の心の闇の方がきついけど、それをわかっていながら警官などに弁明する父親もすごい。
仔猫・ペンギンの遺骸をモンがくわえて去ってしまう。多分食べられてしまうのだろうけど、
そこまでさせなくてもいいのではと思ってしまった。
2部でモンを捨てた少女アヤメがまた出てきた。
1部では母を誉めているけど、それは理想の母親像であって、
実はネグレクトされてるのではないかと思っていた。やはり2部ではそれらしい感じ。
3部のモンの最期は苦しい。人間の延命拒否・安楽死に通じるものがあるなあ。
自然には逆らえないし、逆らわないで自然に任せた方がいいと思ってしまう。
別れが哀しいから引き伸ばしたいのだけど、モンはそう願っていないかもしれない。
作者の実体験があるのかなと思うほど、執拗に細かく描写されていた。
動物を飼ってない私でも読んでてきついのだから、飼ってる人には辛いだろうな。
一気に読み終えてしまったけど、後味は重かったですね。悪くはないけど。