一昨日読み始めた「ことり」(小川洋子)を今夜読み終えました。
「世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。」
次女が以前作ってくれたブックカバーを付けて。
淡々としてるけど、綺麗な小鳥のさえずりのような優しい言葉が連なってて、惹き込まれて行きます。
浮世離れした兄弟で、まるで別世界に住んでるようだけど、なんとか現実との接点もある。
兄は小鳥の世界に住んでたのだろうけど、弟はその兄のポーポー語の通訳というか、
この世界との橋渡し役だったのでしょうね。
兄が亡くなってからは、弟も小鳥の世界に飛んでいきそうだったけど、
それを理解してくれた鳥小屋のある幼稚園の園長、鳥の本の司書や、鈴虫の老人、文鳥の少女など、
この世界につなぎとめてくれてたのですね。
キャンデーや湿布を毎週買いに行く薬局の主人との会話も面白い。
最後にやはり小鳥(目白)との生活から、本当にあの世に旅立ってしまった。
天国で兄と弟、小鳥に囲まれながら幸せに過ごせればいいなと思ってしまう。
読後感が温かいもので、嬉しいです。私の拙い言葉で伝わればいいのですが。
先日ドラマ「きよしこ」(重松清原作)を観た感じにも似てるかな。
こんな時代に心が洗われるような気分にさせてもらえて良かった。