カテゴリ:まんが
銀座のトップホステスいずみ、イケメンの国際線パイロットゼウス、麻布に住むセレブでイケメンのロマンスグレーの紳士コウジュン、筋骨隆々でたくましくてイケメンで独特なファッションの個性的な爪師ハデス。でてくる登場人物たちはとても豪華で、一見、セレブなしゃれた恋愛ものに見えるのです。ところが実は、物語が進んでいくうちに、ファザコンのヒロイン、ファザコンの青年(ゼウス)、浮気性の男(コウジュン)、ブラコンの男(ハデス)という登場人物たちによるかなり危ない物語であることがだんだん分かってきます。このほかにも大人になってる息子(ハデス)からいつまでたっても子離れできない母親であるクラブ勤めの男とか。 ファザコンで年寄り好みでまだ若いのに50歳近い男(コウジュン)と結婚しちゃうヒロインいずみ。その彼女にプロポーズするのが、その義理の息子たち(ゼウス、ハデス)だったりする。 母親の身勝手とわがままのせいで、実の父と暮らすことのできなかったゼウスは、父親への憧憬からやがて異様なまでのファザーコンプレックスとなり、どうしても父離れができない。その妄執はやがて彼の人格を破壊していく。 同じように母の身勝手でただ一人の兄と一緒に暮らして育つことの出来なかった弟ハデス。彼もまた兄へのブラザーコンプレックスから抜け出すことが出来ない。 母の死によって初めて実の父と双子の兄弟ゼウスとハデスはやっと一緒に暮らすことが出来るようになるけれど、思春期になってから突然一緒に暮らしてもいきなり仲良く暮らせるはずもない。思春期までの貴重な時間を家庭、家族というオアシスですごすことの出来なかった彼らの喪失感は永遠に埋められない。 だから彼らの異常なまでのファザコンも、ブラコンも、かなり危なくて、そして悲しい。 いずみもまた、不幸な家庭に育ち、自分を守ってくれる頼れる存在としての年上の男性への憧れと恋愛感情が同一化してしまう。いずみが手に入れたと思ったはずのオアシスもまた、実はあぶなく、いつ失われるか分からない危うさの上にある。 登場人物たち全てがあこがれ続け、得ることの出来ない家庭というオアシスは、手に入らないゆえにいっそう甘美な憧れの夢となって、スィートなスィートなその憧れのオアシスは、けれど永遠の蜃気楼のようになってたどり着けない。 物語は5巻でおわるけれど、彼らの喪失感と幻のオアシスは、永遠に続く。 思春期までの時間を両親兄弟家族そろって楽しくぬくぬく暮らすって大切なことなのかなって思う。 めちゃくちゃ危ない設定がなかなか新鮮でおもしろかったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年03月27日 23時12分06秒
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