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カテゴリ:【本】社会の生きづらさ、社会の現状
図書館で3月に予約して、ようやく順番が回ってきました。
『無理ゲー社会』 橘玲 小学館新書 小学館 2021年
今、多くの人々が「無理ゲー」(攻略がきわめて困難なゲーム)に放り込まれてしまったかのように感じているのではないか。 著者はそのように考え、今回の本は、この「理不尽なゲーム」の構造を解き明かす試みだとしています。
ここで気をつけたいのは、無理ゲー社会を生き抜くための具体的な方法が書いてあるわけではない、ということ。 若者がなんとか生き延びるためにはどうすればいいのか知りたいところですが、それを期待して読むと、本の最後の文章で読者は突き放されることになります。
本の冒頭で書かれているのは、金銭的に厳しく、また自分の将来を悲観して安楽死の制度を求める若者の切実な声。 そうした切羽詰まった感覚は、1959年生まれの著者にどこまで届いているのか……。 もしかすると、あまり現実味がないのではないでしょうか。
この本のタイトルから私が期待していた内容は、残念ながらあまり書かれていませんでした。 私には難しい部分が多く、読み飛ばした箇所もあります。 私が読みたかったのは、今回の本に書いてある内容でいえば、次のような箇所です。
・日本の若者たちは、超高齢社会において増え続ける高齢者を支えなければならない。 それは著者の言葉で言えば「高齢者に押しつぶされてしまう」ことだし、「罰ゲーム」。(何の罰なのか……。)
・そこで高齢者の既得権を減らそうとしても、70歳以上の団塊の世代は最も大きな影響力を持つ有権者で、マスメディアを支える視聴者・読者でもある。 日本社会にとって高齢者批判は最大のタブーなので、別の「犯人」として、「格差」「貧困」「資本主義」への批判を声高に語ることで、現実を直視せずにこの理不尽な事態を説明している。
・さらには、高齢者を支えるだけでなく、1世紀(100年)を超えるかもしれない自らの人生をまっとうしなければならない。
本を読み終えてよくよく考えてみると、私自身は超高齢化の現状を「無理ゲー」と考えていたようです。 そのため、そこをもっと詳しく読みたかったですが、それはこの本のメインテーマからは離れた内容でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.07.09 07:09:00
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