カテゴリ:幕末維新
最近、うちの2人の息子はプレステ2の「風雲新撰組」というゲームにはまっています。
自分の作ったキャラクターが近藤・土方・沖田などといっしょに尊攘派の不逞浪士を討伐していくゲームで浪士には坂本竜馬、桂小五郎、西郷隆盛なども出てきます。斬殺シーンは血しぶきが飛んだりしてグロテススクな場面もあるのでほどほどにして欲しいのですが、本人たち結構のめりこんでやっています。私が買い与えたものなのでしかたがないのですが・・・・・ 新撰組といえば京の町の治安にあたって数多くの尊王攘夷派浪士を倒した剣術武装集団で、やがて倒幕~維新という時勢に逆行し、時代に取り残された集団というイメージがあります。それはそのとおりなのですが、でも実際に彼らの時代認識はどのようなものだったのでしょうか。そこで尊王攘夷というキーワードで新撰組について考えてみました。 幕末史を大きく動かしたのは尊王攘夷という思想(イデオロギー)です。 尊王とは文字通り天皇を敬うこと、発展して天皇を中心とする政治体制を志向する考え方です。江戸中期以降、国学等の隆盛により当時の武士層・富農層・豪商などに尊王思想は広がっていました。 しかし、それは限られた知識階級にとっての話で、一般庶民にすれば天皇といっても遠い話でその存在すら知らない人が多かったのではないかと思われます。近藤勇や土方歳三たちは豪農の生まれでした、これら知識階級では尊王思想は流行していた考え方でした。 この時代、尊王というのは特別な思想ではなく、一般常識に近い(一般庶民は別ですが)教養であったのです。 もう一つの攘夷とは、夷(外国)を排除し打ち払うべしという考え方です。これは知識階層の一部の人を除く一般庶民を含めた日本人の多くが共有していた、当時日本民族の本能のようなものだったように思います。 鎖国は太古以来続いている日本の制度だと一般には思われていたので、外国が武力をかざして迫ってくるとは、恐怖以外の何ものでもなかったでしょう 新撰組の面々も攘夷には大賛成するでしょう。 とすると、新撰組も尊王であり、攘夷派であるということになります。 では”尊王攘夷派”の浪士たちとどう違うのでしょうか。 一つは置かれた立場の違いです。彼らは会津藩預かりで立場的には完全に幕府側であるということ。 もうひとつは、”尊王攘夷派”のいう尊王とは天皇を敬うといったレベルではなく、天皇を絶対的なものと考え、さらには狂信的に天皇を崇拝し天皇中心の国家体制を作っていこうとする考え方なのです。近藤勇も天皇を敬うという意味の尊王意識があり、尊王派の伊東甲子太郎を幹部にしたりしましたが、尊王といっても意味合いが違っていたのです。近藤たちはそこまで明確に認識していなっかたのではないかと思います。 明治維新政権は尊王の部分はかなり取り入れましたが、攘夷については、開国を行った幕府を追い詰め、又攘夷熱ともいうべき尊攘派浪士のエネルギーをある意味利用して倒幕・新政権樹立を行っていきました。 以上、私観でありますが、新撰組はそうした時代の空気を取り入れながらも、純朴に自分たちの立場を守っていったのだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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近藤勇は 京都時代にかなりお勉強したそうですね
幕閣のお偉方とお話する必要に迫られて・・・ 土方歳三あたりは あまり思想的なところはこだわらなかったんじゃないでしょうか 新撰組という組織を守るのが 彼の本意だったからこそ 五稜郭まで闘い続けて 討ち死にしたのだと思います 命を懸けてまで 純情を守ったところが 彼等の政治感覚の無さなんでしょうね (2006年03月17日 21時48分17秒)
緋沙子02さん
新撰組は決して上手な生き方じゃないけど、自分の信念に忠実だったということなんだろうと思います 私も新撰組は好きですけど、そういうところが彼らが人気がある理由の一つなんでしょうね。 (2006年03月18日 18時21分01秒)
はじめまして。
一般庶民が天皇の存在や尊王思想をしらないとありますが、 それを証明するような資料はありますか? 幕末期の大衆文化に関して興味を持っているので、質問させていただきました。 (2009年12月03日 15時11分35秒)
大学生Xさん
>はじめまして。 >一般庶民が天皇の存在や尊王思想をしらないとありますが、 >それを証明するような資料はありますか? >幕末期の大衆文化に関して興味を持っているので、質問させていただきました。 ----- 何かの本に書かれていたことですが、具体的には覚えていません。司馬遼太郎さんだったようにも思います。 明治時代には、天皇巡幸が全国を回っていますが、 その時も、天皇に対しての国民の意識が薄いために、明治政府は国民に天皇を印象つけようと躍起になっていますね。 (2009年12月05日 17時47分47秒)
gundayuuさん、お返事ありがとうございました。
ちょうど読んでいた『ニッポン人異国漂流記』という本にもそのような記述がありました。 とても勉強になりました。ありがとうございます。 (2009年12月10日 20時08分43秒) |
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