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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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2022.05.21
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フクイチ過労死訴訟・控訴審の判決は「控訴棄却」

 拙ブログで、特に力を入れて追いかけてきた「フクイチ過労死訴訟」(※)は、5月19日13時15分から、仙台高等裁判所101号法廷で控訴審の判決公判が行われ、「原告の控訴棄却」が言い渡されました。

 傍聴席42席は満席で、13時17分に小林裁判長が主文を読み上げ、13時18~37分の約20分に渡って判決理由が説明されました。

※「福島第一原発過労死訴訟」の略。
 フクイチ構内の自動車整備工場で働いていた二級自動車整備士の猪狩忠昭さんが、2017年10月26日の昼休憩明けに致死性不整脈で亡くなったことについて、遺族3人(配偶者・息子・娘)が、責任の明確化・謝罪・損害賠償を求め、​​2019年2月に東京電力ホールディングス株式会社(発注元)・株式会社宇徳(元請け)・いわきオール㈱(雇用元)を提訴したもの。忠昭さんが亡くなる前6ヶ月間の残業時間は、月間平均・約100時間に及んでいた。
​​
 2021年3月30日、福島地方裁判所いわき支部(名島亨卓[なじま ゆきたか]裁判長)は、いわきオールと同社元役員らの責任を認めて約2500万円の損害賠償支払いを命じ、宇徳・東電への請求は棄却した。
 4月12日、遺族(原告)は、フクイチ構内の救急医療体制に関して東電・宇徳の責任が認められなかったことを理由に、仙台高等裁判所へ控訴した。
 9月16日、控訴審の第一回弁論で小林久起裁判長は、双方同意の下で弁論終結・和解勧告を宣言。22年2月まで3回の協議が行われるも、和解は成立しなかった。


「これまでの経緯」「忠昭さんの略歴」「忠昭さんが亡くなった当日の時系列」「争点一覧と一審判決内容」は、当記事の下部にまとめて掲載しました。過去記事からは、時系列表や経緯は削除しました。
 忠昭さんの略歴について、情報提供と、ブログへの掲載を認めて下さった配偶者さんに感謝致します。
 過労死訴訟をご存じない方は、記事下部の資料1~4を先に読んで下さった方が良いかも知れません。


判決主文と、棄却理由

 控訴審判決の内容についての私の論評は、後日、改めて書くこととし、判決の主文と、判決理由を引用・紹介します(報告集会で配布された判決書に基づく)。
 読み易さの為、適宜改行し、元号を西暦に改め、24時間表記に変更していますが、文言は変えていません。

 尚、文中の用語について以下の通りです。
「控訴人」は、原告(猪狩忠昭さんの遺族3人)を意味します。
「被控訴人」は、東電・宇徳を意味します。
「1F」は、「福島第一原子力発電所」を意味します。
「原審」「原判決」は、福島地方裁判所いわき支部での判決を意味します。
「ガイドライン」は、厚労省が2015年8月26日に定めた「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」を意味します(​リンク​)。

​====引用、ここから====​

主文
1 本件控訴をいずれも棄却する
2 控訴費用は控訴人らの負担とする

事案及び理由

第1 控訴の主旨
(略)

第2 事案の概要
 1 1F構内作業中の急病発生による猪狩忠昭の死亡(争いのない事実)
(略)

 2 控訴人らの請求及び争点
 控訴人らは、1Fにおいて救急医療が必要となった場合に速やかに救急医療室で適切な治療を受ける忠昭の期待権を被控訴人らが過失により侵害したと主張し、不法行為に基づき、死亡した忠昭の期待権侵害による慰謝料100万円と弁護士費用10万円の損害賠償請求権につき、相続分に応じた損害賠償とこれに対する忠昭の死亡した日から支払い済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を被控訴人らが連帯して支払うよう求めた。
 
(略)控訴人らの主張は、被控訴人東電は、傷病者が発生した場合に、電話を受けずとも救急医療室に直ちに入室できるような仕組みを構築し、あるいは作業員に通信機器等を貸与することで、傷病者発生の際に救急医療室に電話できる体制を構築する義務があったがそれを怠り、被控訴人宇徳は、整備工場内から救急医療室に電話できる体制を構築すべき義務があったがそれを怠り、上記義務が果たされていれば忠昭の治療は数分以上早く開始された可能性が高く、それによって忠昭が生存していた可能性は否定できないから、忠昭は被控訴人らの上記義務違反の過失により、速やかに救急医療室において適切な医療を受けることができず、その期待権を侵害されたというのである。

 被控訴人らは速やかに救急医療室で適切な治療を受ける忠昭の期待権を侵害したという控訴人ら主張の過失を争い、原審は、控訴人らの請求を棄却し、控訴人らが控訴した。
(略)

第3 当裁判所の判断
 1 要旨
 被控訴人東電は、厚生労働省が定めたガイドラインにおいて、(略)1Fにおける(略)作業に従事する労働者の安全と健康を確保するため、(略)必要な保健・医療体制を検討し、救急処置のための医療資材・設備を確保することを求められていた。
(略)
 被控訴人東電は、(1F)構内の入退域管理棟に救急医療室を設置し、作業員全員に救急医療室の電話番号が記載された「傷病者発生時の連絡カード」を携帯させ(ていた)。
(略)
 しかし、当時、車両整備工場には固定電話は設置されておらず、忠昭を搬送した他の作業員も、一人として携帯電話を持っていなかった。一方で、被控訴人東電は、忠昭が死亡した半年後である2018年4月には、緊急連絡用の携帯電話を1F構内の作業員全員に貸与している。
(略)
 忠昭が(略)意識を失った12時55分頃から、(略)自動車に乗せられて13時3分頃に入退域管理棟に着くまで、8分もかかった。
(略)
 事前に電話連絡がなかったため放射線検査の準備もされておらず、入退域管理棟に着いてから放射線のスクリーニング検査を受け、13時10分頃に救急医療室に入室して医師の診察を受けられるまで更に7分かかっている。
(略)
 被控訴人東電としては、(略)重症の傷病者について迅速に放射線検査をして救急処置が直ちに実施できるよう、救急医療室への連絡体制の整備についても十分な配慮をすべきであったと考えられる。このことは、2011年3月11日の原発事故から2017年10月26日に忠昭が倒れるまで6年半の間に、労働災害等により1F構内の作業員に重大な傷病者が発生した事案が13回あったことからも重要な課題であったと言える。

 しかし、(略)忠昭が死亡した時点において被控訴人東電が、速やかに(略)適切な治療を受けられるようにすべき信義則上の義務を履行せず、(略)忠昭の期待権を侵害した不法行為上の過失があったとまで評価するのは、相当とは言えない。

 ガイドライン(では)、(略)救急医療室において診療するまでの放射線スクリーニング等の時間短縮(を)具体的に求められていなかった。
(略)
 重症者の救急医療において(は)数分といえども貴重な時間であるが、救急医療について専門的な知識までは持っていない被控訴人東電において、被控訴人らが主張するような(略)救急診療までの時間短縮の大切さと体制整備の重要性について具体的な問題意識をあらかじめ持つということは(略)困難であったと考えられるからである。

 被控訴人宇徳もガイドラインにいう元方事業者として(略)労働者の安全に配慮すべき一定の責務が有(るが)、(略)ガイドラインでも1Fにおける緊急医療体制の整備の第一義的な責任は被控訴人東電にあることが明記されて(おり)、(略)被控訴人宇徳において速やかに(略)適切な治療を受ける忠昭の期待権を侵害した過失があったとまで評価するのは、やはり相当ではない。

 当裁判所は、(略)忠昭が致死性不整脈により重症となり、(略)救急医療室への事前の電話連絡(略)ができず、(略)放射線測定のために救急医療室で診療を受けるのが数分遅れたことは事実であり、被控訴人らがそのことを真摯に受け止め、重症の傷病者についての救急処置が直ちに実施できるよう(略)体制を構築すべきであると考えるが、忠昭が(略)倒れた2017年10月26日の時点において、法律上の結果回避義務ないし注意義務に違反したものと評価し、(略)忠昭の期待権を侵害した過失があったとまでは認めることができないと判断する。
 よって、控訴人らの被控訴人らに対する不法行為による損害賠償請求は、いずれも理由がなく、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。

2 被控訴人東電の過失についての判断
 控訴人らは、(略)傷病者が発生した際に救急医療室に事前連絡できる体制を構築することができていれば、忠昭は5分~7分早く治療を開始することが可能であった旨主張する。
(略)
 控訴人らが主張するとおり、忠昭の異常に気がついた時点で救急医療室に事前連絡が入っていれば、救急医療室において(略)放射線のスクリーニングの準備をし、(略)迅速に急病人を受け入れて直ちに救急処置を施す準備をすることができたはずであって、(略)忠昭が13時10分より数分前に(略)医師の治療を受けることができたといえる。

 被控訴人東電が、1Fで勤務する作業者に対し、救急医療室の電話番号を記載した「傷病者発生時の連絡カード」を配布し(略)ながら、整備工場内には固定電話が設置されておらず、(略)忠昭を救急医療室に搬送した作業員は誰一人として携帯電話を持たず、(略)事前連絡をしようにもできなかった。

 また、救急医療室に入室する際には、除染室に入った後、救急医療室に通じる内扉を叩いて内部の職員を呼ぶように掲示されているにすぎず(略)、忠昭が搬送された際にはすぐに内部の職員が気づいたとはいえ、1Fという最先端の技術を扱う事業所であれば、インターフォンを設置するなど、もっと迅速かつ確実に急病人の症状を伝えられる設備も十分に考えるべきであったといえる。

 被控訴人東電は、2018年4月、1Fで働く全作業員に携帯電話を貸与する体制を整備しており、(略)控訴人らが、作業グループ内に1つでも緊急連絡用の携帯電話が配布され、(略)数分でも早く治療を受けることができたならば忠昭を助けることができたのではないかと悔やまれる気持ちになるのは、実際に忠昭の命を助けられたかどうかは必ずしも明らかではないとしても、その気持ちが理解できないわけではない。

 被控訴人東電は、原発の廃炉作業を進めるにあたり、(略)作業に従事する労働者の健康や安全に十分に配慮して行う必要がある。また放射線科被爆(原文ママ)のリスク管理も含む各種の安全対策を担うことができるのは原子力発電所を設置、運営してきた被控訴人東電以外にはなく、被控訴人東電の一義的責任の下で、元請け事業者、関係請負人と連携し、労働安全衛生水準の向上に努めなくてはならない。

 1F構内で1日当たり4000人~6000人程度の作業員が働き、(略)救急医療室に入室する前に除染室で放射線測定を実施し、必要な場合には除染作業を受けた後でないと救急医療室に入室できないことなどを考慮すると、控訴人らが指摘するとおり、(略)作業員全員に携帯電話を貸与するか、少なくとも作業グループごとに1台携帯電話を貸与し、(略)救急医療室に事前連絡ができるように(し)、急病人や事故等が発生した際に速やかに救急医療が受けられる体制が維持、整備されることが望ましい。

 しかし、一方で、ガイドラインは(略)重症の傷病者に対する救急処置が直ちに実施できるように求め(てい)るものの、(略)診療するまでの放射線スクリーニング等の時間の短縮が具体的に求められてはいなかった。
 そして、事前連絡によって短縮できる診療までの時間が数分程度であることを考えると、重症者の救急医療において数分といえども決してないがしろにできない貴重な時間であるとしても、(略)救急診療までの時間短縮の大切さと体制整備の重要性について具体的な問題意識をあらかじめ持つということは、(略)1F構内の(略)作業に従事する労働者の健康と安全に配慮していたとしても、相当に困難であったと考えられる。

​ 1F構内で忠昭が過労による労働災害により死亡する事態を回避(略)できなかったことは誠に遺憾なことであって、被控訴人東電のみならず、元方事業者である被控訴人宇徳においても真摯に受け止め、(略)一刻も早く救急医療を受けられたら死亡という結果を避けられたのではないかという悔いが残るような事態を再び繰り返すことがないよう、(略)1Fにおける廃炉作業に従事する多くの労働者の健康と安全のために、速やかに救急医療が受けられる体制を整備し、改めて関係請負人や労働者に周知すべきである(略)​

 忠昭が(略)死亡するという結果が生じた後に、あの時に何ができたのかを分刻みに検討している現時点の知識に基づいて、当時において控訴人らが主張するような対応を(略)要求することは、被控訴人東電が(略)労働者の安全のために有する重大な責任を踏まえて検討しても、なお相当とは認められず、被控訴人東電に、(略)速やかに救急医療を受けられるようにするために必要な措置を講じなかった注意義務違反ないし結果回避義務違反の過失があったとまでは、認められない。

​====引用、ここまで====​

これまでの経緯・死亡当日の時系列・忠昭さん略歴​

 以下、「忠昭さんが亡くなって以降の経緯」「忠昭さん死亡当日の時系列」「忠昭さんの略歴」「過労死訴訟の争点比較と一審判決内容」を掲載します。
 私がこのような「まとめ」を作っているのは、経緯と争点を整理する為もありますが、「故人への敬意」も大きな理由です。

 フクイチで働き、死傷した人達はロボットでは有りません。当ブログでも「〇人負傷・●人死亡」と数字で語りがちですが、本来は数字で一括りにすべきものではないのです。
 働く人は皆、誰かの孫、誰かの息子、誰かの友達です。そして多くの場合、誰かの夫、誰かの父親、誰かの祖父です。この点は、大前提として外してはいけません。

 改めて、フクイチで働き亡くなった皆様のご冥福をお祈りします。
 
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●過去の関連記事・参考
(リンク1)​フクイチで亡くなった猪狩忠昭さんの労働実態

(リンク2)​フクイチ過労死訴訟~故・猪狩忠昭さんの配偶者Aさんが意見陳述~

(リンク3)​フクイチ過労死訴訟・原告代理人の意見書・厚労省ガイドライン・質問主意書

(リンク4)​​フクイチ過労死訴訟・第2回口頭弁論~息子さん・娘さんの意見陳述と、争点概要~

(リンク5)​【原発】作業員〝使い捨て撲滅〟を訴える遺族​(政経東北5月号)

(リンク6)​20年3月、フクイチ「未払い賃金訴訟」は原告勝訴

(リンク7)​フクイチ過労死訴訟は結審~3月30日判決予定~ 

(リンク8)​フクイチ過労死訴訟の地裁支部判決は、一部勝訴・一部敗訴

(リンク9)​約4年間の粘り~フクイチ過労死訴訟は一挙に原告有利へ~ 

(リンク10)​くやしい勝利判決!!​(福島第一原発過労死責任を追及する会のブログ)

(リンク11)​闘いは高裁へ!!4月12日、仙台高裁に控訴!​(同)

(リンク12)​いわきオールからの謝罪を勝ち取る!!​(同)

(リンク13)​5月19日、控訴審判決!

(リンク14)​公正な判決を勝ち取るために!-資料編:忠昭さん死亡からわずか半年後に東電は労働者へのスマホ配備を行っていた。

(リンク15)​署名総数3,477筆!! 追加集約分を高裁に提出

(リンク16)​署名とともに寄せられたメッセージ

(リンク17)​弾劾声明

(リンク)​福島第一原発過労死責任を追及する会
 


資料1 猪狩忠昭さんの略歴



資料2 忠昭さん死亡当日の時系列



資料3 忠昭さん死去後の経緯(未払い賃金訴訟・フクイチ過労死訴訟)









資料4 争点ごとの結果




春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ 





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Last updated  2022.09.25 14:26:34
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