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カテゴリ:株式投資ゲームとは
6月27日の日記で、配当を考慮しなければ、株はゼロサムゲームである、と書きました。この考え方に、しっくりこない方もいらっしゃると思いますので、補足しようと思います。
・経済社会としての観点 通常の経済環境においては、GDPはプラス成長します。資本主義経済は、拡大していくのが正常な姿です。経済成長に伴い、国民の生活水準は向上していきます。企業は利益を上げ、国民の金融資産も増加していきます。まぎれもなく、プラスサムの社会です。 起業家は、自分の立ち上げた事業が軌道に乗り、成長していくことにより、将来大きなリターンを得ることが可能です。また、事業の価値に基づき会社の値段がつきますので、事業が成長すれば会社の値段も高くなっていきます。 オーナー経営者やバフェットのように、株式の永久保有を前提として売却を考えなければ、プラスサムになりえます。 ・株式流通市場での取引としての観点 株式流通市場への参加者にとってのリターンは、インカムゲイン+キャピタルゲイン になります。 インカムゲインの代表例は、配当です。配当は、企業が創造した価値への対価より発生した利益を、分配するものです。したがって、プラスサムです。 一方キャピタルゲインは、株価の値上がり益です。株価が上昇して時価総額が大きくなれば、含み益が発生します。 しかし含み益を実現益に変えるべく、市場で売却するためには、別の誰かに買ってもらう必要があります。この取引は、購入者が新規に市場に投入する資金を、売却者が市場から引き出すことを意味します。すなわち、市場への入出金という観点では、プラスマイナス・ゼロです。 したがって、キャピタルゲインはゼロサムとなります。 歴史的に見て、株式投資のリターンは債権などの資産への投資よりも高くなっています。資産が増えていくことを、どうとらえればよいのでしょうか? これは経済の発展に伴い国民の金融資産が増加し、その一部が継続的に株式市場に流れ込んでいるために発生する現象です。新規資金の流入に支えられて時価総額が増え、含み益が増大しているためです。資金を引き出すためには、同額の資金の流入が必要な事は、上述した通りです。 以上をまとめると、次のようになります。 獲得する資金の供給元が、市場参加者以外である場合にプラスサム、市場参加者間の資金移動である場合に、ゼロサムと定義しています。 この定義によれば、インカムゲインはプラスサムで、キャピタルゲインはゼロサムになります。 投資手法にもよりますが、多くの個人投資家にとって、インカムゲインのリターンは小さいため、キャピタルゲインを目指すケースが多いと推測します。 したがって、株式投資ゲームにおいては、主にキャピタルゲインを目指すゲームであると規定し、ゼロサムゲームであると説明しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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投資はインカムで、投機がキャピタルというのが健全な株式市場ですよ。
長期投機家と長期投資家、どちらが資本主義に役に立つんでしょうかね。 (2006.07.12 20:35:01)
MEANINGさんが、間違っていると感じたのはどこの部分なのか、具体的な指摘がありませんので、よくわかりませんが、定義の違いではないでしょうか?
なおここでは、私が何をゼロサムあるいはプラスサムとみなしているのかを書いたものであり、投資と投機について書いたものではありません。 >投資はインカムで、投機がキャピタルというのが健全な株式市場ですよ。 >長期投機家と長期投資家、どちらが資本主義に役に立つんでしょうかね。 MEANINGさんの主張しようとしていることがよく理解できていませんが、キャピタルゲインを否定しているのですか? もしもそうであれば、株式市場を否定することにつながります。 投資する目的は、投資額以上を回収することです。回収しにくくなれば、投資する人も減り、資本主義社会は停滞してしまいます。 株式流通市場の最大の存在意義は、投資を回収する場を提供することです。 配当はもらえるが、二度と売却できないとなると、投資をする人が激減することは明らかです。 また、売却時にはキャピタルゲインがつきものです。もしも売却額が固定されていたら、企業価値の測量機能もなくなりますし、債権投資と変わらなくなってしまいます。 2行目の問いかけは、言葉の定義が不明ですので、コメントできかねます。 長期投資家とはインカムゲインだけを目的として投資する人で、長期投機家とはキャピタルゲインも目的とする人のことですか? (2006.07.13 10:47:42)
キャピタルゲインは否定していませんよ。
投資は投機の一部、インカムゲインのない株式は成り立たないので、健全な欲望が資本のエネルギーとなる資本主義では、キャピタルゲインありきの株式市場は矛盾していますね。 そもそも有限責任の矛盾の上に成り立っているシステムですから、キャピタルゲインありきのゼロサムゲームというのは成り立たないです。ただ、市場に流入していない物も含めた価値全体がゼロサムというのは一つの正しい考え方だと思います。屁理屈みたいなものかもしれませんね。 (2006.07.13 22:19:42)
長期投資は長期的なインカムゲインを目的とした手法で、長期投機は長期的なキャピタルゲインを目的とした手法です。勿論、資本主義の発展の為には長期投機家の方が役に立つとは思いますが、先の問いは答えを得る事を目的としていないものですので、放置して、どうぞ気にも止めないで下さい。
(2006.07.13 22:30:25)
投資ゲーマーさん、はじめまして。
レフティドラゴンさん、たーちゃんさんのところから飛んできました。 とても深い内容で興味深く読ませていただいております。 ゼロサムについてなのですが、資本主義経済は、拡大していくのが正常な姿(そもそもなんでだろう?)かつ、 その一部が継続的に株式市場に流れ込んでいるのであれば、 獲得する資金の供給元が、市場参加者以外(市場参加者も含め)であることが 常態化するのではないのでしょうか? であるなら、時間軸を点に限らなければプラスサム(市場参加者間のみの資金移動ではなくなる)のような気がするのですが…。 勘違いだったらすみません。 あと、勝手ながらリンクさせていただきました。 (2006.07.14 00:26:12)
MEANINGさん
長期投機家とは、うまいことを言いますね。(笑) 見方や言葉の定義の仕方によって、すべてが投資家とも言えるし、投機家とも言えると感じていたので、私は投資家と投機家を区別することは意味がないと思っていました。 「長期投機家」という言葉、気に入りました。 (2006.07.14 11:07:37)
○田×男さん
はじめまして。実は私も○田×男さんの blog を、いつも拝見させていただいています。 こちらからもリンクさせていただきます。 >その一部が継続的に株式市場に流れ込んでいるのであれば、 >獲得する資金の供給元が、市場参加者以外(市場参加者も含め)であることが >常態化するのではないのでしょうか? 市場に資金を供給した時点で、その人は新たな市場参加者であるとみなしました。 その新たな市場参加者が売却する時には、別の市場参加者からの供給が必要になり...(永遠に続く) 私が主張したかったことは、 「売却するためには、誰かが同額を供給しなければいけない。」 という1点につきます。 その事実さえ認識していれば、それをゼロサムと言うかプラスサムと言うかは、あまり重要ではないですね。 ただし私にとっては、ゼロサムと考えたほうが、しくみを理解しやすいですし、考え方に甘えがなくなるとは思います。 (2006.07.14 11:27:33)
○田×男さん
>こちらからもリンクさせていただきます。 リンクの貼り方がよくわからないので、ちょっと待ってくださいね。(汗) 今までは楽天ブログしか追加したことがなかったもので。 (2006.07.14 11:47:52)
投資ゲーマーさん
ご返答ありがとうございます。 一文、一文が論理的で、とてもためになります。 「売却するためには、誰かが同額を供給しなければいけない。」は非常に重要な視点ですね。 逆に考えれば新規資金が流入し続ける市場で勝負すべきであることの重要性を感じます。 リンクの件、うれしいです。 投資ゲーマーさんほど内容のあるものをかけませんが、よろしくお願いします。 >リンクの貼り方がよくわからないので、ちょっと>待ってくださいね。(汗) ゆっくりお暇のあるときにお願いします。 (2006.07.14 14:11:07)
○田×男さん
他の皆さんへのリンクを登録している Subscribe Link へは、楽天blog 以外は登録できない(かもしれない)ので、○田×男さんの blog は、bookmarks の方へ登録させていただきました。 (2006.07.16 23:24:51)
投資ゲーマーさん
リンクありがとうございます。今後ともよろしくです。 (2006.07.17 02:25:57)
ちょっと全部を一つにまとめるのは諦めました。
分かり易く、一つ一ついきます。 まず最初の部分。 投資はインカムで、投機がキャピタルから。 タイトルの「間違っていますよ」というのは、株式投資でキャピタルがゼロサムという意見に対しての指摘です。 企業は企業活動を通して得た利益を、内部保留(設備投資)と配当に分けます。配当は全体の利益の一部(場合により利益以上になりますがこれは例外)で、残りは企業のバランスシートに組み込まれます。このバランスシートが、いわゆる企業価値の元になります。 その為、インカム以外にもプラスサムになります。 結果として、株式指数は長期的に右肩上がりになります。 ここまでの説明を割愛して、投資はインカムで投機がキャピタルというのが健全な株式市場という意見になります。 (続く…) (2013.06.25 09:54:22)
そもそも、株式投資が地盤となる資本主義社会では、健全な欲望がエネルギーとなります。アニマルスピリットというやつです。
この健全な欲望がなければ、資本主義社会は成り立ちません。株式投資の地盤は、投機なのです。投機の一部が、投資となります。投資の一部が投機ではありません。投機に含まれない投資はありません。 キャピタルゲインを期待して「投資(ここではお金を出すという意味で、投機と区別している訳ではありません)」をするのは投機になります。投機の一部で投資に含まれない部分です。投資という言葉を使っているので紛らわしいですが、不確定要素の大きい有限責任の株式投資に、アニマルスピリット丸出しで投資をするのが投機です。そして、その投機が資本主義社会を大きく育てます。 インカムゲインはやや保守的な投資となります。投機の中にあるのですが、企業に設備投資を促しません。これは、資本主義社会の成長を抑えてしまいます。設備投資せずに内部保留してばかりいる日本は、デフレという健全な資本主義社会ではない状況下ですので例外。健全な資本主義社会では、効率的な資本政策を行えない場合に、株主に支払われるのが配当です。 (続く…) (2013.06.25 10:05:06)
ここまでの内容を詳細に説明せずに1行で書いているので、次に書かれた1文は明らかに皮肉です。
つまり 「長期投機家と長期投資家、どちらが資本主義に役に立つんでしょうね」 の文です。 書き込みをした2006年頃は、バリュー投資家が投資を投機より一段上に見ていました。 実際は、投機の方が資本主義社会に役に立ちますよ、というのが核心部になります。 当時は長期投資がバリュー投資と絡めて優れた投資手法だという意見が多かった事に対する皮肉も含められています。 つまり、 『キャピタルゲイン目的の投資は投機』 で 『長期投機家の方が長期投資家よりも資本主義に役に立つ』 という2重の皮肉です。 バリュー投資家に対する皮肉であり、投資ゲーマーさんに大して主張する意見ではありませんでしたね。猛省します。 キャピタルはゼロサムではないという指摘から入り、キャピタルは投機で(バリュー投資を含めた)投資よりも資本主義の役に立つ、という皮肉を書き込んだだけのお粗末な文章でした。 書き込みをした当時は、この2行でニュアンスは伝わると思っていたんでしょうね。続きの書き込みは、言葉足らずというか説明不足というか、相手に分かってもらおうという気持ちに欠けている説明になっていますので御気分を害されたと思います。若輩者の書き込みでしたので、多めに見てやってください。(自分で言う事場ではありませんが…) (2013.06.25 10:20:05)
MEANINGさん
改めて私が以前書いた文章と、MEANINGさんのコメントを読み比べてみましたが、本質的にはあまり違いが無いように感じました。 例えば >このバランスシートが、いわゆる企業価値の元になります。 >その為、インカム以外にもプラスサムになります。 >結果として、株式指数は長期的に右肩上がりになります。 「経済社会としての観点」の部分で書いた内容と同じです。 事業の価値は高まって行くので、プラスサムであり、会社の値段も高くなっていく、と書いてありますね。 私がここで主張したかったことは、「株式流通市場での取引としての観点」で書いたように、株価がいくら上昇しても、他の誰かが買ってくれないと、換金できないということです。 この市場参加者間の取引を、購入金額と売却金額が同じであることから、ゼロサムと呼びました。 これをゼロサムと呼ぶ事に反対かどうかは、単に定義の問題だと思います。 MEANINGさんは投資と投機を厳密に区別されているようですね。 私は投資と投機の定義には興味が無く、区別していません。MEANINGさんの定義に合わせると、成長株への投機が好みです。 投資と投機の区別を除けば(※反論しているわけではなく、興味が無いので意見も無いだけです)、MEANINGさんが書かれていることに同意します。 (2013.06.25 13:51:11) |