去る平成27年6月、トルコ海軍フリゲート艦ゲディズが晴海埠頭へやってきたので嫁と二人で乗艦してきた
(→詳しくはこちら)。入口で士官が来艦者一人一人に握手し、希望者には口がひん曲がるほど甘いコーヒーがふるまわれ、さらに希望者には「串本」をイメージしたTシャツまで配られた。串本町紀伊大島・・・和歌山県の小さな漁村から始まった日本とトルコの友好の物語・・・その何たるかを語っていては長くなり過ぎるので割愛するが、地位も無い、何もないフツーの人々が成した善行が、時として一国の国民感情に影響を及ぼすこともあるという、何だかロマンチックでちょっと夢もあるような、そんな気持ちを抱いている。
だから、この映画が日本・トルコ両政府レベルで結託したうえでの国策映画、という一面をある程度割り引いても、とりあえずきちんと見て史実と教訓を得ようと映画館に足を運ぶ。なんてカッコいいことを言ってるが、ちょうど
東宝の株主優待があったのでこの機会に使っておくことにした。東映の映画ですけどね、東宝シネマ府中で上映しているから使えてしまうのです。
さて、映画を観た感想などを一つふたつ。とにかく史実を忠実に掘り下げようという意図は十分伝わる映画であることは確か。特に明治の生活風俗が活写されていて、それがエルトゥールル号遭難の描写と絶妙に絡ませる表現はさすが。危機に陥った艦を立て直すため、せっかく買った日本のお土産をボイラーの薪代わりにしなければならないシーンはぐっと胸に迫るものがある。もちろん、救助する方もされる方も大混乱で、もちろん言葉なんかほとんど通じない中で右往左往する描写もリアリティに溢れる。
エルトゥールル号
それに比べて・・・95年後に起きた「テヘラン邦人置き去り事件」は後味の悪さだけが残った(日本側から見た感想だから?)。結局、95年後の日本人は同胞を見捨てたのも同然なのである。もちろん、エルトゥールル号のことを知る人もなく、なぜトルコが助け舟を出したのか、外務省の高級官僚さえ理由を理解していなかった。もっと言いたくないことを敢えて言うとすると、当時の日本人で「トルコ」と聞いて思い浮かべるのは、「性風俗関連特殊営業を営む店舗」の略称だった。ここまで情けないと、もう興ざめだ。
どうせなら、テヘランの件を映画の冒頭に持って来ればいいのではないか。トルコ大使館の職員が、お前ら歴史教科書で習ったろ的な演説をカマすシーンで場面は1890年に遡る・・・あるいは、命からがら日本に到着した一人のサラリーマン~なぜトルコ人に助けられたのか理由が分からない。それから数十年後!とあるニュースを見たことがきっかけで・・・そこから場面は1890年に遡る、とかね。
串本の詳しい写真とかは、
こちらからどうぞ!